第1話  壁(2p)

 私の前から壁が無くなる事は無かったが、しかし、私はもう精神科には掛かっていない。

 毎日の様に通院しても、ちっとも壁は見えない様にならなかったし、両親含む周りの人達の私を見る、怯えた様な視線や、おかしな物でも見る様な意地の悪い視線に私の方が耐えられなくなり、ある日から私は壁が見えるなんて言わなくなった。

 そうしたら私は精神科には行かなくて良くなり、周りの私に対する不安や好奇の目も無くなった。

 ただ、たった一人を除いては……。








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