第4話 二度目の出会い③
一瞬、彼女の言った意味が理解できなかった。
「死んでる」
彼女は確かにそう言った。
人は生きることでその存在を示し、生きているからこそそこにいる。
しかし彼女はそれを真っ向から、正々堂々、包み隠さず、否定したのだ。
その否定は、彼女が幽霊であると遠回しに言っているようだった。
「えっと、死んでるっていうのは?」
「そのままの意味です」
「つまり君は幽霊だと……」
「はい」
正直信じられなかった。いきなり現れた初対面の人に幽霊だなんて言われても、信じろというほうが無理な話だ。
しかしその反面、辻褄が合う部分もあった。
まず、この部屋にどう入ったかということ。玄関も窓も全て鍵がかけてあって侵入することは不可能だったはず。
それから、僕の記憶にこの子がいないということも。
僕の頭の中を様々な疑問がぐるぐる回る。
しかしそれは、気持ち悪いものではなく、むしろ心地いい気もした。
真っ白で空っぽだった頭の中を、物足りなかったこの気持ちを、満たしてくれるような気がした。それが勘違いだとしてもいいと思った。
根拠はないけど……
「わかった。信じるよ」
「え?」
「君が幽霊だってこと。信じるって言ってるんだ」
「え、あ、ありがとうございます。でも、なんで……?」
「……なんとなく」
「そう、ですか」
彼女が少し、微笑んだように見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます