第4話 苦難!初めての鍛冶仕事!!

「なんと、杖を直してくれるのか?」

「はい。この家を貰ったお礼です。」

 実は早く鍛冶スキルを試したいという気持ちもあるのだが。

「・・・そうじゃったな。今からちと杖を取りに戻るから、少し待っててくれ。」

 そう言ってグレイダードさんはブツブツと何か言ったかと思えば、フッと姿が消えた。もしかしてワープしたのか!?すげぇ!来るまでの間荷物を片付けるか。


 20分くらいでグレイダードさんがやってきた。

「待たせたの。これが杖じゃ。」

 と、早速現物を見せてくれる。金属性の杖が見事にくの字に曲がっている。

「わかりました!すぐとりかかりますね!」

「うむ、頼むの。ではわしは一先ず・・・我をかの地まで送り届けよ『テレポート』」

 そう唱えるとまた姿が消える。やっぱりワープしてるのか!しかも厨二的詠唱付き!っと、俺も早く修理に取り掛かるか。


 俺は防火の魔法が付与された厚手の服・エプロン・バンダナ・手袋・ブーツ、そしてゴーグルを付ける。うん、それっぽい。グレイダードさんが来るまでの間にこの作業覗いたが、改めて見渡す。約10畳のこの作業場は、高炉式の炉が備付で設置されている。黒光りしている金床は床のくぼみにはまり込む形で設置されており、外すことで持ち運び可能。ハンマーはどんな素材が使われているのだろうか?大きさの割に軽い。

「よし、直すぜ!」

 気合を入れて炉に火を・・・火を?・・・火・・・あれ?

「・・・どうやって火をおこせばいいんだ?」

 問題発生。作業場には火をつけるものはなかった。


 どうすれがいい!?火がおこせない。ここに火をつけるものがないのだ。苦節10分、何も解決策が思いつかない。ふとグレイダードさんを思い出す。あの人魔法使ってたな・・・。まさか魔法で点火するなんてことないよな?

 ボッ

 なんとなく火をイメージしてたら指からライターの火くらいの小さな火が出た。俺魔法使えたんだ・・・。だが、これで火をおこせる!

 そうして火をおこし、ついに俺の鍛冶が始まる。


 炉に入れた杖を取り出す。因みにふいごもなかったのでなんとか風の魔法を使い人力ふいごをしていた。そしてついに待ちに待った鍛える作業に取り掛かる。

 カンッ

 金属を打つ独特の音がする。形が変わらないよう修正しながら杖を打つ。

 カンッカンッカンッ・・・キンキンキンキン・・・カンッカンッ・・・・・・


 杖を水に浸る。これで完成だ。しかし無心で売っていたから気づかなかったけど、鍛冶スキル発動したのか???

 仕上がった杖を眺める。綺麗な銀色を放っている。発動しているみたいだな。

 俺は嬉しくなって杖を届けに行く。いつの間にか日が落ちて暗いが関係ない。


「こんばんは!杖、直りましたよ!」

「なんと、もうできたのかね!?いやすまんの、明日あたりに取りに行こうと思っとったでのぅ。・・・どれ。」

 杖を見せるとグレイダードさんが驚いたように目を見開く。

「なんと、これは・・・!素晴らしい出来じゃよこんなことが・・・!」

 お?鍛冶スキルちゃんと発動していたな?よし。

「おぬし、すごいの。おぬしはきっと素晴らしい鍛冶師になるじゃろう。」

 満面の笑みでグレイダードさんが言う。

「では、俺は帰ります。失礼します。」

「うむ、気を付けての。」

 そして次の日、俺は筋肉痛で悶えていたのだった。

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