第3話 道具がない!
「鍛冶道具がない・・・」
俺は今非常に困っている。鍛冶スキルは貰ったが鍛冶をする為の道具がないことに気付いたのだ。
「なんと!?まさかわしが召喚してしまった際に道具をおいてきてしまったのか!?はっ!言わなくてもわかるぞい!!お、おぬし、丸腰だものな・・・」
あ、言われて気づいた。今灰色の旅人的な服着てるだけで何も持ってないや。
「・・・グ」
「グ??」
「グオオオォ~ン!!!わ”し”の”せ”-”で”ぇ”~~~!」
「うわぁ!?」
再びグレイダードさんは号泣した。実は最初から鍛冶道具なぞ持っていないから居心地悪いが、泣き止むのを待つか。
「止まりました?」
と、グレイダードさんの背中を
「・・・止まった。すまなかったの。道具をなくさせてしまって。」
「いえ、その、まぁ、なんとかなるでしょう。これから。」
あぁ、片言なうえにグレイダードさんを見れない。
「そう、か。じゃが、せめて詫びをさせてくれ。おぬしに空き家をあげよう。わしの家の近くのボロ家ではない、最近空いたばかりの家をの。それと・・・。」
三軒隣の家はボロだったのか。それと・・・?
「街の大工師に頼んで、その家に鍛冶設備を揃えさせよう。」
「え!?マジですか!!」
ついガッツポーズまでして
「喜んでもらえて一安心じゃわい。早速改装の手筈を整えさせよう。・・・シンよ。おぬしさえよければ、出来るまでの間、わしの家に住まぬか?」
「はい、よろしくお願いします!」
そこからたった3日で工事は終わったのだった。
改築が終わったとのことで引っ越す準備をする。といっても3日間の間に買った(お金までグレイダードさんに頂いてしまった)衣服くらいだが。実は家を見るのは今回が初めてなので、ちょっとワクワクしている。グレイダードさんの家もとい町長の屋敷から東に徒歩20分、周りは元牧場だったのか、草原と囲いが広がっている。もし囲い込みで俺の敷地となるのならばかなりの広さだな。お、向こうに家の屋根らしきものが見えてくる。初めて家の全景を目の当たりにするが、これはすごい。2階建のレンガの家だ。丁寧なつくりの玄関まである。付添いで一緒に来たグレイダードさん得意げに言った。
「どうじゃ?よいできじゃろう。ここがおぬしの家であり、工房となるのじゃ。」
「はい、ありがとうございます。こんなすばらしい家を頂いてしまって・・・。」
「良いのじゃ。わしはそれ以上の迷惑をかけてしもうたからの。では、これで・・・。」
「待ってください。」
「?・・・どうかしたかの?」
俺はグレイダードさんを呼び止める。グレイダードさんが帰る前にやりたいことがあるのだ。
「俺に、杖の修理をさせてください。お金はいりません。」
ここでならいいものが出来る。俺はそう確信して自信たっぷり、そう言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます