第2話 まずは家探し

 ・・・なんだ、この浮遊感。

 ドンガラガタンッ

 いてぇ。声でないほど痛い。転生したっつうのになんだこの仕打ちは!周りを見渡すと、誰かの家の様だ。なぜ誰かの家なのか、もっとマシな場所に転生していただきたい。

「むむ~、また召喚は失敗したか。とほほ・・・」

 赤いローブと三角帽を被った如何にも魔法使いといった老人が。あ、こっち見た。

「な、なんと!おぬし、いつからそこに!?」

 見事な白く豊かな口ひげを蓄えた三角帽の老人が詰め寄る。

「えっと・・・、いつからかな??・・・・・・すいません、ここどこですか?」

「なんとまぁ!わしの召喚術式の失敗で、おぬしを召喚してしまうとは!!このグレイダード、一生の不覚ぅ!!!ウオオォ~ン!」

 グレイダードといった老人は大声で泣き出してしまったので、落ち着くまで傍に居ることにした。


「えっと、収まりましたか?」

「グスッ。もう大丈夫じゃ。久々に大泣きしたわぃ。」

「グレイダードさん?でしたっけ。ここは何処でしょうか?」

「ふむ、ここはアーバルティアという中規模の街じゃな。どのくらいの規模かと言われるとちと困るが、まぁ小さな王国くらいじゃな。なんもない平和な街じゃよ。」

 なるほど、規模わからん。でも治安よさげ。ならすることは、

「アーバルティアっていうんですね。・・・あの、ここって空き家があったりしません?」

「あ、空き家じゃと???」

 気持ちばかりが先走って理由を言い忘れた。

「・・・空き家ならわしの家から左に三軒隣の所に家が空いておったわ。して、何故空き家を?わしの魔法で元の居場所に戻してあげようとおもったのじゃが。」

「えっと、俺こう見えて鍛冶師目指してて、それで拠点となる場所探してたらここにワープしたんです。よ、要するに旅の途中?だったんですよ。」

 と、つい嘘をついてしまったが、まぁ神様に転生させてもらったことは言ってはいけない気がした。

「ほほ~ぉ、若いのに鍛冶師を目指すか。感慨深いのー。最近の若いもんは、やれダンジョン攻略だわ、やれ魔王を倒すだのと大きいことしか考えとらん!わしの孫共もダンジョンなぞ行かずにわしの手伝いを・・・・・・ブツブツ・・・」

 この世界、魔王いるんだ・・・。頼まれても会わんがな。

「えっと、グレイダードさん。その空き家って使ってもいいんでしょうか・・・?」

 頼む、ここが重要だ。拠点さえ確保できればなんとかなる。・・・はず。

「おお、空き家じゃったな。勝手に使っていいじゃろ?気づいたらだれか住んでたなんて珍しい話ではないしの。」

 気づいたら住んでるのが珍しくない発言に、少し不安になったが、とりあえず家が手に入ったので素直に喜ぶ。

「そういえばお前さん名をきいてなかったのぅ。なんというのじゃ?」

「あ、自己紹介まだでしたね。俺、芯・・・シン・ハザキっていいます!」

 ふ、こういうファンタジー異世界は外国人のように名前で苗字となっているはず。俺の名前の読み方も入れ変えたって訳よ!

「うむ、シンじゃな。わしはグレイダード・じゃ。よろしくの。」

「え、アーバルティアって・・・。」

 この街の名前と目の前の老人の苗字が一緒であることに驚く。

「ああ~気にせんでかまわんわい、どうせ名ばかり町長じゃからの。」

 と微笑むグレイダード。そう、町長だったのだ。

「お、俺・・・失礼なことしませんでしゅっ、でしたか?」

「ほぉほぉ、だから気にする必要はないわい。じゃがシンよ、一つ頼みができてな。」

 グレイダートの目が物理的に光る。

「おぬし鍛冶師を目指しておると言ったな?丁度良いからわしの壊れた杖を直してくれんかの?」

 おお!早速鍛冶の依頼・・・。あれ?俺鍛冶スキルは貰ったな。でも、道具は???


「・・・鍛冶道具がない・・・」

 俺はきづいていてしまった。鍛冶道具がないことに。

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