夜風

夜、空の星は見捨てられ、

地上の紛い物が心を打つ。

月の代わりにぼろ鉄塔が、

ちか、ちか、ちか、と脈拍する。

風切る音は最早これまで、

電車の轟音がせきを切る。

ひゅろろお、ひゅろろおむ。

誰も居なくなった街で、

風邪は寂しく鳴る。

愛しい鉄塔と寄り添って、

風邪は今も寂しく鳴る。

ひゅろろお、ひゅろろお、ひゅろろおむ。

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