失ふ物の無い夢ならば、

私は身を投げるなどしなかつたらう

見失ふ事のない明日ならば、

賭ける価値さへ有（ある）ものか

だが見よ

出来るならば覗き見、さうして私に伝えよ

彼（あの）夜江戸（よるえど）の路地裏に続くやうな真暗（まっくら）な道の先を

……

なので我々は、盲人（めくら）のやうな、

視界を覆う布をした者のやうな出立（いでたち）で、

只硝子の道を歩む迷子でしかない

何時割れるとも知らぬ硝子の道を……

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