第6話 遊園地は苦手でした


 ピリリリリ


 「...うーん」


 朝から目覚ましが鳴る...うるさい。


 「ふわぁ~...あ、そっか」


 そういえば今日は助っ人部の部員達で遊園地に行くんだっけ?


 「はぁぁ...めんどくさ」


 ――――


 ガチャ...


 「やっほー!ヅッキー!!」

 「うおっ!?」ガタッ


 「何だ椎名か、おどかすなよ...」

 「えへへ、ごめんね!」


 朝っぱらから元気だなこいつ...。


 「お前ずっと待ってたのか?」

 「ううん、今さっき来たよ」


 どう考えても待機してたとしか思えないんだが...。


 「何でインターホン鳴らさなかった?」

 「何かそっちの方が面白いでしょ?」


 俺としては普通にしてほしいんですが..........。


 「それじゃ、蒼を呼びに行くよ!レッツゴー!!」

 「おう」


 ――――


 「...」

 「どうしたのヅッキー?」


 いやなんて言うかもう...ここが家なの??もはや何かのホテルにしか見えないんだが...。


 「えっと、本当にここが園咲の家なのか..........?」

 「え?そうだけど?」


 何でお前は何とも思わないんだよ...。


 ピンポーン


 「...椎名さん?」

 「蒼呼びに来たよー!!」


 ガチャ...


 「それじゃ行きましょうか」

 「楽しみだねー!」

 「お、おう...」


 ――――


 というわけで遊園地に来たが...


 「わーい!何乗ろっか?」

 「そうね...ジェットコースターとかはどうかしら?」

 「」ビクッ


 待って、それだけはやめてくれ...俺が一番苦手な乗り物なんだが..........。


 「」ニヤッ

 「...はぁ、わかったよ、じゃあジェットコースターにするぞ」

 「じゃあ早く行こヅッキー!!」

 「ちょ、引っ張るなよ...」

 「ふふっ」


 ――――


 「ジェットコースター列が長いね」

 「そりゃジェットコースターは人気だろうし...まあ俺は大嫌いだけどな...」


 大体こんなもの乗って何が楽しいんだよ...。ただ恐怖を感じさせる乗り物じゃねぇか..........。


 「あ!わかった!ヅッキー怖いんでしょ~?」ニヤッ

 「うっ!」ギクッ

 「やっぱりそうだったんだ秋月君」ニヤッ


 ..........帰りたい。


 「あっ、私たちの番来たみたいだよ~!」

 「それじゃ行きましょうか秋月君?」ニヤッ

 「...はぁ」


 ――――


 「」ダラダラ

 「ヅッキー...汗すごい出てるよ?」

 「そんなに怖いの秋月君?」


 やばいやばいやばい!!マジで怖い......早く終われ早く終われ早k...


 ガタガタ...


 「ひっ!」ビクッ

 「~♪」


 (秋月君大丈夫かな...?)


 「だいぶ上まで来たね~」

 「そうね、楽しみ~...でも、秋月君は..........」チラッ

 「」ダラダラ


 帰りたい帰りたい帰りたい......こんな時妹連れてこればよかった..........ああああ!!!!!


 「えっと...ヅッキー..........?」

 「はっ!」

 「もうすぐ下りるわよ?秋月君」

 「......へ?」


 それはどういう意味d...


 ビュン!!!


 「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛~~!?!?!?!?」

 「「ひゃーーっ!!」」


 スゥーーッ...


 「ふぅ...楽しかったね蒼!」

 「ええ、すごく楽しかったわ!!ところで秋月君は......っ!?」


 「」チーン


 「ちょっ!大丈夫秋月君!?」


 やっぱり遊園地は嫌いだ...


 ――――


 「...うっ」


 あれ?ここは..........?


 「あら、気がついた?秋月君」

 「園咲...?」


 あれ?なんで俺ベンチにいるんだ...?


 「俺はたしかジェットコースターに...」

 「あんたがいきなり気を失うからでしょ...全く困ったものだわ.....」


 何か恥ずかしいな...。


 「そうか...ごめん、迷惑かけたみたいで...」

 「ううん、大丈夫よ」


 ムニュッ...


 「うん?」


 何だ?この後頭部から感じる柔らかい感触は...。


 「ちょっ、動かないでよっ!///」

 「何でだよ...」


 ん?まさかこの感触は..........。


 「えっと..........この状況は一体?」

 「か、考えたらわかるでしょ...ひ、膝枕よ///」


 ..........え?今なんて言ったんだ..........???


 「......っ!?な、なんでそんなことしてんだよ.......///」

 「だって、気を失った秋月君をそのままベンチに寝かせるわけには..........」

 「そ、そうか......」


 これが膝枕か...正直めっちゃ気持ちいいな..........。


 「えっと...秋月君?」

 「何だ...?」

 「その...気にしなくていいの......?」

 「何が?」


 何言ってんだこいつ...?確かに膝枕されてるのは恥ずかしいけど...。


 「だから...周りの視線が..........///」

 「っ!?」チラッ


 ザワザワ......


 バッ!!


 「その...ごめんっ!///」

 「い、いえ大丈夫よ...私がした事なんだから///」


 やばい...めっちゃ恥ずかしいんだけど..........。


 「と、ところで椎名は?」

 「椎名さんなら飲み物を買いに行ったわ...」

 「そうか...」


 見られてないよな?椎名や同じ学校の生徒とかに...。見られてたら最悪だなこりゃ...。


 「蒼ーっ!!」

 「あら椎名お帰り」

 「あっ!気がついたんだねヅッキー!!も~~心配したんだからねっヅッキー!!」

 「お、おう、悪かったな...」


 ――――


 「でもまさかヅッキーが気を失う程ジェットコースターが苦手だったなんてね...あと蒼顔真っ赤だったけど、大丈夫?」

 「っ!だ、大丈夫よ!」

 「ならいいけど...」


 ふぅ...何とか椎名には見られてないみたいだな。もしも椎名に見られてたら大変なことになってただろうな..........。


 「次何に乗る?」

 「そ、そうだな...アレとかどうだ?」


 「...秋月君ってそんなのが好きだったの...?」


 適当にメリーゴーランドを指さしてみたけど...。


 「ヅッキーってメリーゴーランド好きなの?」

 「あっ...それは」

 「いいじゃない、乗りたいなら行きましょう秋月君」


 ――――


 「えっと...」

 「あはは...じゃあ後は二人で...」


 どうしてこうなった...何で俺と園咲が二人で乗らなくちゃならないんだ...もう恥ずかしいどころじゃないんだけど..........。

 それに椎名が一人で乗って後残ってるのが一つだけだからって何も二人で乗る必要はないだろ...。


 「その...秋月君」

 「うん?」

 「わ、私は気にしてないから...そういうの///」


 いや、その割りには顔真っ赤なんだが..........。


 「そういえば何で秋月君ってメリーゴーランドが好きなの...?」

 「別に好きではないが、昔遊園地に来た時はいつも妹と一緒に乗ってたからな...

 「秋月君って妹いたんだ...今度見てみたいわね」

 「別に見んでもいいだろ...普通の妹だよ。俺とは違ってな..........」


 まあ、普通でもないけどな..........。


 ――――


 そして俺たちは色々な乗り物を楽しんだ後、夕方になり帰る時間になって―


 「いやーっ楽しかったね!!」

 「ええ、また皆で着たいわね!」

 「はぁ...もう疲れたわ........」

 「ちょっ、何でそんなこと言うのっ!」バシッ

 「痛てぇな!」


 本当容赦なく叩くよなこいつ...。俺は決して遊園地に来たところで楽しむ事のんて出来ないと思ってたが、このメンバーで来ると何故か楽しめた気がする..........何でだか...。


 ――――


 「じゃあ私はこっちの方が近いから、またね!蒼、ヅッキー!!」

 「おう、気をつけてな」

 「さようなら椎名さん」



 「じゃあ私はここで、さようなら秋月君」

 「おう...」


 なんだろう...何故か園咲と二人でいると緊張するな。やっぱりあの時の膝枕が原因なのか...?


 「えっと、秋月君」

 「な、何だ?」


 「あ、あれは決してあなたのためとかじゃないんだから!!か、勘違いしないでよねっ!!!//」

 「わ、わかってるよ!俺だって...///」


 駄目だ...緊張しすぎて言葉が浮かばない..........。


 「じゃあさよなら秋月君っ...」


 「行ったか...」


 何であんなに緊張したんだろうか...自分でもわからない...。


 ――――


 ボフッ...


 「はぁ...何か疲れたな...色々と」


 もう今日は疲れた...。でも..........


 「膝枕...気持ちよかったな..........」


 

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