第5話 吹く風と約束
「...よし」
やっと4限目が終わった。4限目が終わる=昼休みだ。
俺はいつも昼飯は同じ場所で食べるようにしている。それはもちろん教室ではない。なんせ教室にいてもボッチである俺は暇なだけだからだ......自分で言ってて何故か悲しいな..........
「よし、じゃあ食うか」
食堂でパンとサイダーを買って食べることにした。俺は基本的に食堂の弁当は買わないようにしている。それは、口に合わないからだ。ただそれだけだ。
フーッ...
「おっ、来た来た」
俺はいつも昼飯は校舎でてすぐ近くの階段で食べるようにしている。ここなら教室で余計な声もかけられることなく静かに食べられるからだ。
そして、この場所は昼過ぎにかけて気持ちのいい風が吹いてくる。やはり教室がうるさいからなのか、俺がボッチだからなのか、この風が余計に気持ちよく感じるのだ。俺はこの吹いてくる風が結構好きだ。
「やっぱ気持ちいいな..........それにこの静かな感じも...」
俺は静かなところが特別好きではないが、この感じが何となく好きなんだ...。
「ヅッキー!!」ポン
「うおっ!?」ビクッ
何だ何だ!?誰だ...って椎名かよ。
「何だよ...脅かすなよ......」
「えへへごめんね!」テヘッ
いや、マジでビビったんだぞ...はぁ。
「で、何か用か?」
「もう、何でそんなめんどくさそうな言い方するの!」
そりゃさっきまでの雰囲気がぶっ壊れたからにきまってんだろ。
「お前も昼飯か?」
「うん、教室で食べてもよかったけど、何となくヅッキーと食べたかったから!それに、ヅッキーボッチだし私と食べる方がいいでしょ?」ニコッ
まあ確かに一人で食べるよりはいいが、最後のボッチは余計な。確かにボッチで合ってるけど...
「そういえば、園咲とは食べないのか?」
「うん、蒼は『私は一人で食べる方が合ってるから』とか言ってたからね!何かそこらへんヅッキーと似てない?」
「いや、全然似てねぇから...」
まあ一人で食べるというところは俺と同じだな...。
「でも蒼一人で食べてて大丈夫かなー?」
「どういうことだ?」
「いやだって、蒼ってさ変な話すっごい美人じゃん?だから一人で食べてたら、他の男子達に声かけられすぎて食べられないかなーと思ってね」
まあ、言われてみれば園咲って......まあ美人ではあるよな.........転入してきた時もあんだけ男子達が騒いでたぐらいだし。
「まあ、園咲の事だし大丈夫だろ」
「ちょっ、何で他人ごとのように言うの!蒼は私達助っ人部の仲間なんだからね!!」
仲間と言うか部長何だけどな。
「お、おう。それは悪かった椎名...」
「あっ、ごめん。私もつい...」
何だこの空気は...何だがやりずらいんだが。
――――
「さてと、昼ごはんも食べた事だしそろそろ教室に戻ろヅッキー」
「そうだな」
その瞬間...
「あら、秋月君。それに椎名さんも」
「あっ、蒼!」
「園咲か」
へぇ、珍しいな。園咲がここに来るとは...。
「秋月君あなた3限目の授業の時、また居眠りしてたでしょ」
「あっ、そう言えばそうだったね!あの先生に怒られた時のヅッキーの顔が面白くて...」フフッ
何かいきなり罵倒されてるみたいだな...いや、俺がそう感じるだけか。
「い、今はその話はいいだろ...」
「えーっ、でもあの時のヅッキーすごく面白かったよ?」
「ホントそれね。間抜けみたいな顔になってたわよ?フフッ」
「いや、何も嬉しくねぇから...それに間抜けは余計だろ」
「あら、そんなに顔を赤くしなくてもいいのよ?」ニコッ
「赤くなってねぇから!!///」
(ヅッキー、顔真っ赤じゃん...)
――――
そして6限目が終わった。
「はぁ、やっと帰れる...あ、そうだった」
俺は部活に入ってたんだった...忘れてた。早く家に帰りてぇ...。
「ヅッキー早く行こ!」
「はいよ」
――――
ガララッ...
「やっほー!」
「こんにちは椎名さん。それと秋月君も」
「いや、普通に入れよ...」
「もう、ヅッキーはノリ悪いんだから...そんなんじゃいつまで経っても彼女できないよ?」
「うっ...」
それは流石に嫌だな......一生ボッチなのは流石にごめんだ。
「それで、今日も依頼はないのか?」
「とくにはね。まあ殆どそんなものよ」
「あっ、そうだ!ねぇねぇ!この前一緒にどこかに出かけよって言ってたの覚えてる?あれどうする?」
そういえばそんな事言ってたな。まあ結局どこに行くかは決まってないが。
「明日の土曜日とかはどう?それなら蒼もヅッキーも行けるでしょ?」
「それならいいわね」
「俺もいいぜ」
「で、どこに行く?」
「そうね、遊園地とかでいいんじゃない?」
何でそうなるんだよ...遊園地とか殆ど行ったことないんだが...。
「じゃあ遊園地に決定ね!明日は遊園地にレッツゴー!!」
「楽しみね!」
「...はぁ」
ほんとに行くのかよ...それもこの三人でか..........
「ちゃんとヅッキーも来るんだよ?わかった?」
「わーかってるよ椎名...」
「約束だからねっ!」
「はいはい」
やれやれだ...
――――
ガチャ...
「ただいまーって、誰もいないか」
「はぁ、でも本当に行くのか...俺って遊園地行ったのいつぐらいだっけな...」
俺が誰かと一緒に遊園地に行ったのは...妹と行ったことしかないような...そう考えると俺ってやっぱりボッチだよな.........
「はぁ...」
自分で思ってて情けなく感じるなこれ...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます