霧色真珠の導き
はたして濃霧の予報は的中し、小舟は視界のきかぬ中、すべるように岸を離れた。入り組んだ水路を抜けると潮の香に包まれる。孤児の娘が纏う黒い婚礼衣装はあたりの色に溶けこめないまま沖でおぼろに漂っていた。
おそれは無かった。物心がつく頃には既に共に在った歪な真珠を、彼女にとっての全ての美の
(#Twitter300字ss企画 第48回 お題「霧」/ 文字数:300字)
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