記録盤 No.007
【チャプター・044/049 前夜】
〈
かくして彼氏の〈
念の為に繰り返すと、これは境遇と状況に拠って導き出された結果であり、誰かの/何かの介入なんて事は、補講以外に有り得ない──〈
〈
さぁ、だから
小脇に捨て置いて、顧みる事無く──
──時刻は午前の九時少し前/大地の上に太陽が顕れ、明度が上がり始める頃──場所は〈ヴィクトリア
その狭苦しい『
──今日/此処に至るまでに、色々な事が確かに起こった。
起こった──が、本筋進行が決まったからには最早どうでも良い事である──とは言え一応、/念の為、/何か在っても困るからと、
それが〈トーキング・トーテム〉内の〈部屋〉だと察するまでには、少々の時間が必要だった──そこまでの間に、両腕/両脚を椅子に縛られ、片手には〈決定〉鍵のみの簡易
哀れ囚われの〈ブラン(ドン)・ベルゲン〉は、端的に言うと
主催を語る、三角帽子の〈トリス・メギストス〉が、説明台詞を淡々と告げて来る──自分達が秘密裏に集合した〈
『
それが最終的なる〈決定〉打となり、抵抗か否かの意思確認に対し、首肯で応じる羽目となる──実際は親指で押すだけで良かったけれど、〈ブラン(ドン)・ベルゲン〉は頷いていた──嗚呼分かった、良いから早く概要を教えろ、と。
──〈
〈サキシフラガ〉の〈
──語るべきは、これ位で良いだろう。その後の細々とした雑事に関しては、大体察しが付いている筈で、今更繰り返す必要も無い。
とは言え、しかし、脅迫に拠る無理強いでは在るけれど、〈
『
『〈サキシフラガ〉の一支持者として──愛を込めて。』
等と言う、まぁつまりは“ファンレター”であった訳だけれど、内容と機会を鑑みるならば、誰が、/または誰々が送って来たかは、まぁ明白であったと言えるだろう──どうやら連中も、一枚岩と言う訳でも無い様だ。〈フェリシア〉に対する言及も含め、これは単純に喜ばしい事でもあり、別の意味では、同情や共感という感慨も無くは無くて──攫われた夜から既にして数週間、自身は秘匿と沈黙の内に開放され、何もする事無くダラダラと過ごして来たならば、当時の激昂も静まり出しており──ある種、不本意な事、/つまり、自ら始めた訳でも無い事はそのままに、協力しても構わないと言う、/〈
それが心的作用に基づく転換なのか、最初から自身に在ったものかは分からないが──吐息と共に重心を後ろへと、背凭れの内に身を沈め、事態の進行に身を委ねる、/感情は表明しても抵抗はしない、そんな心持ちへと浸って行けば、時間は音を立てて過ぎて行き──午前九時の、約束の時刻が訪れた。
仕方が無いのか、/そうでも無いのか、何はともあれ、最早遣るより他には無くて──
〈PALE PIT〉
〈PRESS ANY BUTTON〉
其れが今の〈ブラン(ドン)・ベルゲン〉には、主の啓示に感じられる──太陽の様に高々と掲げられ、その余りの光輝さの元、直視すれば盲てしまいそうな──と、そこで突如過るのは、〈
『
黒──白──光。そして光。
光が溢れ、世に満ちる──現実の方を変えるべく。
誰が……俺が──“彼女”が──だ。
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