ep12-4
「ああーーーっ、ツガルぅ! ツガルの××××をソニアの××××に×××んでぇぇ!!」
ソニアが身悶えながら魔力を高めていく。
「何でもするからっ! ソニアの×××な××××に××××してっ! ツガルっ、ツガルっ!!!」
ソニアが卑猥な言葉を口にする度に、彼女の背中の光の翼はどんどん成長していく。
「ちっ……なんて奴らだ」
ヴォルティーチェが舌打ちするのも当然だ。彼が全力を尽くして光の矢を打ち込んでも、発情したソニアが片手間に生み出す防御の魔力回路で相殺されてしまうのだ。
「ソニア、楽しみは後で二人っきりになった時に取っておこう。まずはここを片付けないとな」
ツガルはソニアのバリアの中から一歩外に出る。
すかさずヴォルティーチェの光の矢が殺到する。
だが。
「『瞬迅閃』っ!」
ザンッ!
踏み込むと同時に切り込んだツガルのたった一撃が、宙を舞うチップの全てを粉々に切り裂いた。
パラパラパラ……
念動力の魔力回路を破壊されたチップの破片が一気に床に落ちた。
ついでにヴォルティーチェが身に纏っていた魔導軍の黒いローブを切り裂き、布切れ一枚残さずに全て床に落ちた。
「ぬおぉっ!?」
ヴォルティーチェは慌てふためく。
「おい、やめろ!」
白い小犬も慌てふためく。
小犬は身を呈してヴォルティーチェの見られてはいけない場所を隠した。
「もう終わりか?」
「あっけなかったわね」
うずくまるヴォルティーチェをソニアとツガルが取り囲む。
「う、うぅ……許さんぞ、貴様ら……魔皇帝様に歯向かうとどうなるか」
「うるせぇ!」
がぶっ!
白い小犬がヴォルティーチェの見られてはいけない場所に噛みついた。
「ア゛ーーーーーーッ!!!」
魔王ヴォルティーチェは白目をむいて口から泡を吹いて昏倒した。
「へっ、ザマぁねぇな!」
勝ち誇る白い小犬。
呆れる3人。
「……ええと、ヴォルティーチェくん? そんな事をしてしまうと、元に戻った時にすごく痛いんじゃないかな?」
心配そうに言うマミヤの言葉で白い小犬は青ざめた。
「は……!」
唖然とする白い小犬を放っておいて、ツガルとソニアは窓の外に消えて行った魔皇帝たちの姿を探す。
虹の道は既に空の遠くの方に残滓が見える程度に消えてしまっている。
「魔導軍本部……とか言ってったな」
「走っていくにはちょっと遠いですわね」
城下町を見下ろせば、そこには町中を支配した魔導軍兵士たちがひしめいている。
「走り抜けるのも難しそうだな」
「あら。あなたとわたくしのふたりなら、難しい事なんて何にもないですわよ?」
「……それもそうだな。じゃあ、行くか。ソニア!」
「行きましょう。ツガル!」
ツガルの左手とソニアの右手が固く結ばれる。
ふたりは謁見の間の窓辺に立ち、
「なあ、ソニア。この戦いが終わったら、さぁ」
「いいえ、ツガル。わたくしたちは、いま、ここで、結婚しましょう!」
ふわりと、飛び降りた。
「おい、上を見ろ、魔王の娘と勇者だ!」
「魔皇帝様の命令だ、処刑するぞ!!」
階下の兵士たちは慌てふためきながらも剣を取り、落ちて来るソニアとツガルを迎え撃つ態勢を整える。
「道を……」「あけろぉぉぉぉぉ!!」
魔導軍兵士がひしめく城の庭園に向かって、一直線にツガルとソニアが飛び込んだ。
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