ep10-6

「やれやれ、まったく。人の話を聞かずに勝手に薬を飲むからですよ」

 ガルフストリームはマミヤが飲み干してしまった薬瓶の中身の確かめる。もうほとんど空になっていた。

「さて、マミヤ王女。薬を飲んでしまった後だけど一応説明しておきましょうか。君が飲んだ薬は正確には性転換の薬ではなくて、擬似的な男性器を生やす薬なのです。薬液は体内に留まり、男性器の先端から排出されつくすまで男性器を形成したままになる。君が飲んだのはだいたい200ccだから……」

 顔を赤らめて上の空になっているマミヤに、ガルフストリームは冷酷な笑みを投げかけた。

「一回の排出で3ccとして、67回は排出しないと元に戻らないですね。フフフ……」

 67回。その数値を聞いてマミヤは飛び上がった。

「67回!? 今みたいな、全身がぞわぞわっと来るのを、そんなに!?」

「なるほど、さっきので出てしまったなら、あと66回だね? 君はまだ若い。頑張ってください」

 呆然とするマミヤ。股間が濡れて居心地が悪そうだ。

 薬を勝手に飲まれて少々怒っているのか、残酷なガルフストリームの言葉に一同は震え上がった。

「ねーねー、ボクが飲んだら、どうなるの?」

 ルキーニは残されたもう一本の薬瓶を眺めて訊ねる。

 ガルフストリームは魔王の名に恥じない邪悪な笑みを浮かべて答えた。

「……もう一本、生えていたでしょうね」

 にっこり。

 その笑みに青ざめるルキーニ。

 ガルフストリームには逆らうまいと、その場の者は肝に銘じるのであった。

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