ep9-8

「初めましてかな、ツガルくん。そしてお久しぶりです、ソニア王女」

 ガルフストリームは2人を見て挨拶をする。

 久しぶりと言われたソニアはとっさに反応できずに口ごもってしまう。

「あ、あの、えっと……」

「おや、私の事を覚えていないのですか、ソニア王女」

 ガルフストリームは淋しそうに首をかしげる。

 ソニアは入れ替わる前にガルフストリームと会ったことがあるのだろうか、とソニアはツガルに助けを求めて視線を送る。

 ツガルはそれを察して代わりに応えた。

「お久しぶりです、魔王ガルフストリーム様。刻印の儀ではお世話になりました」

「おや……? 何故君がそれを知っているのでしょうか? 確かにソニア王女とは背中の紋章を彫った時に会って以来ですが……」

 首を傾げるガルフストリーム。

 ツガルとソニアは顔を見合わせて意を決し、言った。

「オレとソニアは、身体が入れ替わっちまったんだ」

「実は、このソニアの身体に入っているのがツガルの魂で、こちらのツガルに入っているのがソニアの魂なのです……」

 とにかく信じてもらおうと、2人は真剣な顔をする。

 それを察したガルフストリームは優しげな笑みを浮かべて姿勢を正した。

「……詳しく話を聞かせてもらえるかい?」

 そうして2人は、これまでの経緯を説明した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る