ep3-4
「それでは旅の目的も決まったところで、今宵の入浴の準備を致しましょう」
ツガルは瞳を輝かせて外套を放り投げた。
そしてそのまま着衣を脱ぎ捨てていく。
「わっ、バカバカ! なにしてやがる!」
急に脱ぎだしたツガルに驚いてソニアは両手で顔を覆った。
指の隙間を開けて、肝心な所が見えないように覗き込む。
「何って……脱がないと入浴できませんわ」
「そりゃ、そうだけどよ。こんな所で脱がなくても……」
「大丈夫です。ここには貴方とわたくししかおりません。狭い脱衣場で脱ぐよりも良いではありませんか」
「だからって、部屋のド真ん中で脱ぎ出されたら……ビックリするだろ!」
事実、ソニアは内心ドキドキしていた。
元は自分の身体とはいえ、今は異性の身体なのだ。見慣れたはずの男の体に、どこか安心感を伴うときめきを感じ始めていたのだった。
「……(こうして見るとオレの身体って肩幅も広くてガッシリしてて逞しいな。頼りがいがあるっていうか、守ってもらえそうっていうか。まあ、この女の体に比べれば当然なんだが。…って、何考えてんだオレ! 自分の身体を誉めてナルシストみたいじゃねぇか!)」
ぐおお、と頭を抱えるソニア。
しかし彼が思った通り、そして彼女が言った通りこれまでの旅でツガルは充分にソニアを守り通してきた。自分が傷つくのも躊躇わずに、ソニアが魔物に襲われぬよう尽くしてくれていた。
それを感じ取っていたからこそ、ソニアもツガルに対して信頼を寄せるようになっていたのだ。
ツガルは元は女とは言え、どうしようもなくスケベで、何かというと「元は自分の身体だから」とソニアの身体を覗こう、触れようとしてきた。
それさえ呆れながらも許せてしまうのは、やはり彼自身が彼女の想いを感じていたからなのであった。
「さあ、次はソニアの番ですわよ」
身体の内側に芽生えた想いに戸惑うソニアをよそに、丸裸になったツガルは鼻の下を伸ばしながらソニアの衣服を脱がし始めていた。
「わっ、待て待て! 自分で!自分で脱ぐから!」
ソニアは脱がされるよりも自分から脱ぐ事を選んだ。結果、部屋の明かりの下で身体の隅々までツガルに観察されることとなるのだった。
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