第4話 150年前の島の家族
丸田区長は歳は40代半ば、背は180ないぐらいでがっしりした体型だ。何かスポーツをやってたと言ってたけど、何だったか思い出せない。結構いいかげんな人で、「はいはい、それでいいですよ。」(本当に分かってるのかなぁ?)とか「その件は今動いてるんですけど、少し時間かかるかもしれないですねぇ。」(本当に動いてるのかなぁ?随分前から言ってるけどなぁ)とか「大丈夫です、大丈夫です、言っときましたんで。」(絶対忘れてたよなぁ)とか「今代わりは探してるんで、もう少し待って下さい。」(あてになんねぇなぁ)などのセリフが多い。( )内は言われた人達の心の声だ(笑)。でも丸顔で愛想も良く、印象が良いし、基本的に良い人で忘れた頃にバシッと動いてくれて頼りにもなるんで、俺は嫌いじゃない。だからあまり無理な事や不平不満は言わないようにして、これだけは特別って時に頼み事をするようにしている。そもそも60〜70件の派遣隊を担当していて、部下も150人〜200人ぐらいいるし、基本的に忙しいから、やむを得ないところもあるのだ。ここみたいに何もない派遣隊には月に一回くるかどうかだが、クレームが度々来てしまう、うるさい契約先も少なくない。その度に謝罪したり、人員を入れ替えたり、色々大変らしい。でも移動の件を、そろそろもう一回念押ししといた方がいいかな。もう2,3ヶ月経つしな。
それにしても、遂に契約者さんが誰なのか分かるのか。面白いな。ここに来て初めての面白い事だな。一体誰なんだろう。制服をビシっと着た海軍将校か?美人の秘書を連れた金持ちそうなどこかの社長や会長とか?白衣を着た神経質そうな研究者とか?くたびれたスーツを着たどこかの役所の官僚とか?うーん、全く予想がつかない。あっそうだ、その前にトイレに行っとこう。
そして時間通りにアラームが鳴った。東の空を見上げると空中から二台の車が近づいて来ている。一台はいつもの丸田区長のタクシーだ。もう一台は高級車だった。ベントレーか?それともセンチュリーか?車には興味がないのでよく分からない。二台の車はこの島にしては広めのヘリポート(なんで車が停まるのにヘリポートと呼ぶのだろう?)へ降りて来た。タクシーからは丸田区長と遠藤部長が降り、高級車からは40代ぐらいのスーツで体格のいい男性と、20代半ばぐらいのブラックデニムに上はグレーのジャケットの中に白いパーカーを着込んだガリガリで貧相な男が降りてきた。この貧相な若い男が契約者らしい。
「第8管区太平洋第16派遣隊、只野J太郎、異常ありません。」
「了解、楽に休んでください。どうもお疲れ様です。」
「お疲れ様です。」
遠藤部長に会うのは半年ぶりぐらいか。
「こちらはここのご契約者様で、山田&ジョンソンコーポレーション企画部長の山田さんです。」
丸田区長が紹介してくれる。山田&ジョンソン?聞いた事のない会社だ。民間なのか?公営なのか?
「お世話になってます。山田&ジョンソンの山田です。」
貧相な男はボソボソとそう名乗った。あまりこっちは見ずに周囲の景色をキョロキョロと見ている。
「お疲れ様です、只野と申します。」
「山田さんはこの島に来るのは初めてという事で、いろいろ見たいそうなので少し案内してもらえますか?」
「了解しました。案内といっても特別な所はありませんが。とりあえず海岸沿いを一周しましょうか?」
「いいえ、海岸よりも先に、この近くに誰も住んでない家はないですか?僕はひいおじいさんの家を探しに来たんです。」
それでしたら、すぐ近くにごく小さい集落らしきものがあるので、ご案内します。
俺を先頭に5人全員で歩き出した。山田&ジョンソン、いったい何の会社なのか?でもこの貧相な若者が大金持ちなのは確かだ。ひいおじいさんが誰だか分かってるなんて、相当な金持ちじゃないとあり得ない。現代では俺たち一般庶民はおじいさんどころか、自分の親が誰なのかも分からない。先の戦争の後は家族を持ってるのは大金持ちだけになった。人口を統制する為なのか、経済的理由からか、寿命が長過ぎるぐらい長くなったからなのか、理由は分からないが、ほとんどの人は工場で産まれる。誰かの精子と誰かの卵子がランダムに選ばれ、いや、それも定かではない。もしかしたら優秀ないくつかの遺伝子からのクローンかもしれないし、その辺はどの国でもかなり重大な国家機密らしく、庶民には全くの闇の中だ。だから俺たちは誰から産まれたのかも、何で産まれたのかも、誰の都合で産まれたのかも、何も知らずに急にこの世に産まれる。親も先祖も何も無い。しかし幼馴染みは沢山いる。物心がついたら、ある建物で何十人かの同い年の連中と共同生活をしていた。こういう関係は昔でいう兄弟なのだろう、おそらく。昔々には家族というものがあったという事は古い小説や漫画とかで見たことはある。なんか、めんどくさそうな人間関係だなぁぐらいの感想しか無いけど。そして今でも大金持ちや名家、貴族の類は家族として生活してるらしい。血筋とか遺伝子が大事だそうだ。金持ちの考えることはよく分からない(笑)。
ほんの2、3分歩いたところに、10戸ほどのブリキの壁と屋根の、平屋で部屋は三間ほどしかない、小さな同じ形の廃屋が建ち並ぶ場所に出た。山田さんは一軒一軒、中に入り、細かく調べていた。ここは島で唯一の、集落と呼べるほどの数の家が集まってる場所で、俺も前に来て軽く調べたが何も出なかった。何の変哲も無い昔の住宅だ。中には家具やテーブル、置いてきぼりにされた本や新聞など、生活の名残りを残している。山田さんとお付きの人以外は全部の家には入らなかった。何軒かに入って、後は外で待っていた。誰もどうせ何も出ないと思っていた。6軒目に入ったところで、中から歓声が上がった。
「あったー!!」
俺たちもすぐに中に入った。
「どうしましたか?」
山田さんは、小さなコンピュータのメモリのようなものを持っていた。
「ひいおじいさんの言っていたコンピュータメモリです。」
「コンピュータメモリ?って何ですか?」
「はい。ひいおじいさんが死ぬ前に、今まで生きてきた中で一番価値のあるものをここに入れた、と言っていたものです。僕のひいおじいさんは一代で会社を立ち上げ、この分野では世界第1位の会社に育てました。その人が、産まれた島に何かの宝を隠したという伝説はうちの会社ではずっと噂されてきました。しかし、その島はひいおじいさんが個人的に買い取って、隠れて直接管理してきたので、何処にあるのか誰も知らなかったのです。今回僕が父から、ひいおじいさんの家の整理を任されて、あるデータを発見したのです。そのデータは何故か僕の身体コードで解除する事が出来ました。ひ孫だからでしょうか?謎です。本当は出来るはずはないんですけどね。そこにはある場所とそこを管理している会社の名前とその会社との契約書が記録されていました。そしてその中にはメモリがあるとだけ記録されていたのです。そして御社と連絡をとり、今ここにいるわけです。」
随分興奮している。多分それで喋り過ぎてしまったのだろう。俺たちには知らせなくてもいい情報だったと思う。
「我が社でもここの事を知ってる人間は限られた数しかおりません。しかも、何故ここに警備が必要なのかも分かってる人間はいなくなりまして。」
「それはそうでしょう。もう何十年もの間、秘密にされてきたものです。あと最初に話したとおり、今回の事はくれぐれも。」
「それはご安心下さい。弊社は警備業界No.1でして、それは売り上げだけでなく、品質、内容共にであると自負しております。もちろん守秘義務の徹底に関しても厳しく規定しております。今まで、ご契約先の情報が漏れた事は一度もございません。」
本当だろうか?丸田区長が言うと嘘くさく感じるのは、彼を良く知ってる人間だけだろうか?
残りの数軒の捜索は全員で行なった。皆、俄然興味をひかれたのだ。しかしそれ以上何も出なかった。我々はすぐに車に戻り、山田さんが一人でクルマにこもりデータの解析を急いだ。何が出るのか?宝の地図か?軍事兵器の設計図か?タイムマシンの作り方か?(すでに200年前にタイムマシンを密かに作った人がいるという伝説がある。その人はもちろん世間に公表はしていないそうだ!)しかし、何が出ても俺らには教えてもらえないだろう。当たり前だ、お宝の秘密を他人に教えるはずがない。でもそのお宝がこの島の何処かにあるなら、この島を案内出来るのは俺だけだ。それなら、どんな種類のお宝かぐらいは分かるかもしれない。
しばらくして、山田さんは車から降りてきた。目が充血している。少し泣いたようにも見える。
「皆さん、お手数をお掛けして、本当にありがとうございました。僕は今日、ようやく、ひいおじいさんの宝を発見する事が出来ました。それはとても素晴らしく、・・・・」
やはり泣いているように見える。
「僕は御社に、皆さんに感謝しています。この島をあの家を何十年も守ってきてくれた事に。非常に・・・、あの、ありがとうございます。」
皆、ポカンとしていた。何があったのか?あれは何だったのか?話が見えない。
「それで・・・、もし、もしよかったら、これを見て下さい。これは僕たち・・・、僕たち家族の、宝です。」
「え!我々も見て宜しいんですか?」
「はい、その、皆さんが見ても面白いものではないと思いますが、先程話したような秘密にして頂くような内容ではありませんでして、もっとプライベートな・・・、その、でも、皆さんも興味がおありではないかと思いまして、もしそうであるならば、一緒に見て頂いても何ら差し支えありませんので・・・・」
そう言うと、山田さんは空中に手を滑らせて、少し大きめの画像を出した。俺たちは固唾を飲んでその画像を見つめた。
そこは今から100年以上前と思われる、先程の場所だった。さっき見たものよりもだいぶ新しい、ブリキの壁とブリキの屋根の家が等間隔に並んでいる。小さな粗末な家だ。ブリキだから雨が降ったらさぞうるさかったろう。台風でも来たら吹き飛びそうだ。隙間だらけだから、ムカデや便所コウロギも入り放題だろう。子供が夜中に目が覚めてしまった時に、天井にムカデが這ってるのを見つけてしまったら、さぞ怖かったろう。そんな家が理路整然と並ぶ中心には車が余裕ですれ違えるぐらいの幅の未舗装の道が貫いている。未舗装の道のそこかしこからは雑草が生えていて、ミミズやバッタ、ダンゴムシなどが見えるし、モグラが地中を通った後なんかがある。
そこにテーブルを出して、大人4〜5人と子供5〜6人が食事をしている。男性達はビールを飲み煙草を吸いながらトランプなのか、花札なのか、手元にお金を置きながら、何か賭事をやっている。女性達は子供達の遊ぶ様子に注意をしながらも、おしゃべりに夢中のようだ。串に刺した肉や野菜、玉ねぎ、カボチャ、ソーセージなんかが、香ばしい煙をあげて焼かれている。子供達はそのそばを走り回っている。上は10歳ぐらいから、下はようやく歩き出したぐらいだろうか?バッタを取ったり、木の枝で戦ったりしている。強く叩かれたのか、6歳ぐらいの男の子が泣き出した。空にはトンボの群れが通り過ぎた。この島は昔はトンボがいたのか。夕暮れというにはまだ早い時間のようだ。何故か音声は聞こえないが、皆楽しそうに笑っている。泣いた男の子は一人の女性の胸に飛び込んでいった。どういう関係なのか?先生というにはもっと濃密な関係のようだ。泣かした年上の子供は別の女性に叱られているようだ。突然別の子供がカメラに突進してきて、超どアップですごく変な顔をし始めた。すると隣からまた別の女の子が入ってきて、負けじと変な顔をしている。二人とも何が面白いのか大爆笑して転げ回っている。さっきまで女性の胸で泣いていた男の子は、それに気づきカメラに突進してきた。カメラを持っていた人は子供達の勢いに押されて転んでしまったらしい。頬に涙の跡を残したまま笑っている男の子のアップの後、急にアングルが空を映した。透き通る様な高い空が広がった。カメラは別の人に渡されて、転んだ男性と子供達は1対3で相撲を取り始めた。そこにさらに年長の子供達も加わり男性を倒した。子供達は皆、どうだと言わんばかりの誇らしげな顔をしている。カメラは、それらを遠巻きに見ている、自分よりも大きなぬいぐるみを抱いている女の子に気がついた。すると、別の少し年上の女の子に合図をして、ぬいぐるみを抱いている女の子の手を引かせた。それでも女の子はぬいぐるみで顔を隠して、子供達の輪に入ろうとしない。子供達はなんとかしてこの女の子を笑わそうとして、さっきの変な顔を代わる代わるしてみるが、女の子はぬいぐるみの隙間からチラッと見るだけで、まだ表情は堅い。それに業を煮やしたのか、やんちゃな男の子が急にズボンを下ろして、おちんちんを出した。女の子はびっくりして顔を背ける。それを見ていた別の女性が急いで飛んできて叱ろうとする。男の子はズボンを下ろしたまま、おちんちん丸出しのままで、必死に逃げようとするも、ズボンが足首に絡まってうまく走れず、水たまりに頭から突っ込んでしまう。顔からおちんちんまで泥だらけだ。それを見て女の子はやっと笑った。カードをしていた男性達もおしゃべりに夢中な女性達も、一瞬動きを止めて、次の瞬間には全員で大笑いしていた。泥だらけの男の子も一緒に。
これは何だろうか?何だかよく分からないけど、胸に込み上げてくるものがある。それは一体何なのか?何ゆえなのか?女性は現代の女性よりもより女性らしい体型で、より女性らしい服装、髪型、化粧をしている。男性は現代の男性よりもより男性らしい体格で無精髭を生やし、より男性らしい。現代では男女平等が進み、体型もファッションも髪型も、男性と女性はほとんど同じ格好をしている。パッと見では全く区別はつかない。役割も男性と女性で違うようだ。男性は子供達に対して、時に、より厳しく接していて、女性は子供達に基本的には優しく接している。男女で役割や性格が違うというのも、何か奇妙だし、新鮮だ。現代では社会は随分進歩して、男女は全て平等じゃないと法律に違反する。我々はそれを誇りに思っている。しかしこの時代の方が遅れていて野蛮なはずなのに、何かこの映像を見ていると、胸に込み上げてくるものがある。何だろう、この感情は?初めて味わう気持ちだ。大人達は全員が、子供達を、何者にも代え難いものを見るような、慈しみに溢れた目で見守っているようだ。そして子供達はそんな大人達を全面的に信頼して、安心しきって遊んでいる。何があっても必ず守ってくれると確信しているようだ。さらにある男性はある女性と、またある男性はまたある女性と、それぞれに対になっているようで、たまに親密に話している。これは何なんだ。俺は我知らず涙を流していた。皆んな泣いているようだ。何か胸が熱くなってくる。ただ、食事をし、笑い、泣き、遊び、喋り、怒り、そしてまた笑っているだけなのに。
「これは、何なんだ?」
「これは僕のひいおじいさんの家族です。」
俺はいつの間にか声に出してしまっていた。山田さんはそれに答えてくれたのだ。
「これが、家族というものなんですか・・・・」
「はい、でも今の時代の家族とはだいぶ違うようです。」
「現代の家族はどんな感じなんですか?我々には家族がいないので、全く想像も出来ないのです。」
「ああ、そうでしたね。我々は、その、伝統を守っている家でありまして、結婚や家族というものを未だに行っております。結婚というのは当家の男性が家を継いでいくもので、その当主となる男性の、つがいとなる女性を、現当主が、家柄や遺伝子、知能、容姿、性格、思想、などなどを様々な面から判断して、女性を選別し、夫婦とさせるのです。そしてその子供をその夫婦、さらにその上の代の夫婦などで、一緒の家で生活して育てていくのです。その単位を家族といいます。」
「何人かの男女が一つの家で共同生活するのですか?」
「そうです。その共同体の単位が家族です。」
「それは何の為ですか?子供の生産性が上がるのですか?工場の方が生産性は高いと思うのですが。」
「生産性の為ではありません。血ですね。先祖の遺伝子を残す為です。過去の偉大なご先祖様の遺伝子を残していく為です。」
「遺伝というものは女性の遺伝が入り、代が重なるほどに、元の遺伝情報とはどんどん離れていくものだと思います。完全にその遺伝情報を残すにはクローンを作るのが、一番良いのでは?」
「それはその通りなんですが、この結婚、家族というやり方が伝統的な方法なのです。それに、産まれてから家族の中で、家の伝統、知識を教育していく事も大切な部分です。」
「教育なら家族じゃなくても、寄宿舎のような共同生活の施設でする方が効率的ですし、現に我々はそうされてきました。」
「それはそうなのですが、伝統を守っているとしか言えません。」
「それに、百歩譲ってその方法が良い方法だとしても、先祖の遺伝子を残す事には意味があるのですか?」
「それは、もちろんです。ご先祖様がいなければ、我々は今、存在しません。そのご先祖様の遺伝子を守る事は、大切な事だと、我々の家族は考えています。なんなら、今生きている人間よりも、次の世代の子供達の方が大切です。我々は、あくまでつなぎでしかありません。」
「そうですか・・・・。まあ、わかったような、分からないような・・・。それで、今の家族と昔の家族はどう違うのですか?」
「それは、なんというか、昔の家族の方が、家族一人一人の関係性が濃いような気がします。今の家族の方が非常にドライというか、なにか役割をこなしているというか。」
「この大人の男女がペアになってて、こう、何というか互いを慈しんでる感じは、今でもあるんですか?」
「いえ、全くありません。これがおそらく、昔の本や漫画や映画に出てくる愛だと思います。今の家族にはこのような愛はありません。もっと役割を果たす為の、何かその役割への義務のようなものが強いと思います。」
「何かこの映像を見ていると、強く心を動かされるのですけど、それは何故なんでしょうか?何か自分達は非常に大切なものを失ってしまったような、後悔のような、故郷への懐かしさのような、何だかよく分からない感情が、ごちゃ混ぜになって湧いてくるんです。」
「分かります分かります。それは私も一緒です。でも、理由は私にも分かりません。ただこの映像が当家にとっては非常に大切な宝だというのは、分かります。実はこの後、ひいおじいさんの家族は大変な事になるのです。この映像がひいおじいさんの家族の最後の幸福な時間だったらしいのです。」
この大人の男性のうちの一人なのか?子供達のうちの一人がひいおじいさんなのかは分からないらしいが、ひいおじいさんはこの島にいた時に、たちの悪い伝染病が流行ったという。そして、島の人口の約7割の人が命を落としたらしい。ひいおじいさんの家族もお母さんが死に、妹が死に、弟が死に、ついには、ひいおじいさんと、その弟と父親しか生き残れなかったそうだ。すぐにこの島は閉鎖され立ち入り禁止となった。それで仕方なく本土に上陸し、その後、大変な苦労をしたそうた。それこそ、休みなく朝から晩まで働き続けて、なんとか生き残ってきたらしい。その後、幸運もあり、事業が大成功して、大金持ちになった。それでも島はまだ立ち入り禁止のままだったが、ひいおじいさんは島ごと買い取り、そのまま保存して、いつか帰ろうと思っていたそうだ。それは心の拠り所であり、故郷への想いだった。死ぬ前にひいおじいさんは山田さんを呼び寄せ、島の場所を教え、そこに連れていけと強く訴えてきたそうだ。しかし、容態は急変し、説明の途中で生き絶えたという。
それが、この島の秘密であったという事か。そうかぁ、分かってしまえば意外とあっけないものだったというか、肩透かし感がある。しかし、家族というものを初めて見れたのは良かった。何か、泣けるものだった。我々現代人はとてもとても大切なものを捨ててしまったのではないか?と、後悔のような想いが湧いてくるのを、止められないのは何故なのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます