第34話 月光
ロサンゼルスに移って一週間が過ぎた。
家の中も落ち着いて
来週からはみんな学校へ行く。
ちびっこチームを寝かしつけて
さくらさんと二人で
プールサイドのカウチで寛ぐ。
夜は少し肌寒いから
ブランケットを持ってきた。
赤ワインを飲みながら
星を見上げる。
今夜は満月だ。
「渡さなくちゃいけないものがあるんだ。
手をだして」
さくらさんの手のひらに拳を乗せて
そっと開いて重ねた。
「今度から、戻る場所は俺にして欲しい」
「ふふ、わかりました」
二人で手を開く。
「わぁ、素敵」
月明かりに照らされて
キラキラと輝いている。
さくらさんの左手の薬指
藤木さんとの結婚指輪に重ねて着ける。
「思った通り、良いアンサンブルだ」
唇を重ねる。
何年振りだろう。
あぁ、クソッ!かっこワリィ!
さくらさんが、優しく頬を拭ってくれる。
泣き顔を見られたくなくて、抱き締める。
「待たせちゃって、ごめんなさい」
「普通、逆だろ?」
リツさん越しの月がとても綺麗で
その金色の光は
時間も、苦しみも、悲しみも
すべて溶かして
リツさんの瞳から溢れだした。
私はそれを拭い去る。
抱き締められた胸がとても暖かくて
体だけでなく
心もぎゅっと抱き締められる。
ひざまくらで眠るリツさんの髪を撫でながら
もう一度、月を見上げた。
幸せだよ。
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最後まで読んでくださって
ありがとうございました!
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