第31話 手紙

さくらへ


キミと出会って

僕は申し分なく幸せだった。

本当にありがとう。


僕を愛してくれて

可愛い子供を4人も産んでくれて

本当に幸せだった。

ありがとう。


キミと付き合いはじめた頃

他の人とデートする癖には驚いたけど

キミが僕を愛してくれていることは

ちゃんと解ってる。

佐藤とデートした時に僕が問いただしたら

キミはこう言ったんだ。

「佐藤さんは、勇気を振り絞って私にデートを申し込んでくれたのが分かったから、断って傷つけたくなかったの」

覚えてるかな?

「あなたの元に必ず戻るから信じて欲しい」

いろんな人とデートしてきたけど

必ず戻ってきてくれた。

不思議なことに

キミが連れてくる男は

みんないいヤツばかりで

つい仲良くなっちゃうんだよね。


でも、リツくんが現れたときには

さすがにマズイと思ったよ。

いろんな人の縁を繋いできたキミは

自分の縁もしっかり繋いでいたんだね。



僕がいなくなった後のことは

リツくんにお願いしようと思う。

キミのことも、子供達のことも

しっかり守ることができるのは

リツくん以上の人はいないと思う。

初めて会ったときはマズイと思ったけど

今は、出会えて良かったと心から思ってる。

僕も安心だよ。



これからも

キミと一緒に年を重ねて

幸せなおじいちゃんとおばあちゃんに

なりたかった。

もう叶わないけど

「ごめんね」は言わないよ。

誰も悪くないんだよ。

だから、さくら。

幸せになって欲しい。

これから先も、どうか幸せでいて欲しい。

それが僕の願いなんだ。

僕が居なくなることで

不幸になって欲しくないんだ。

悲しみは一瞬だけで十分だ。

その後は幸せになって欲しい。

さくらにも、子供達にも。


子供達をよろしく頼みます。


愛してるよ。


ナオユキ

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