第18話 初恋
数時間前
芍薬の花束とシャンパンを持って
藤木の家の前に立つリツ。
あれから一年。
もう、二度と会うことは無いと思っていた。
まさかこんなに早く会えるなんて…
インターホンを押す。
「はーい」
花の声だった。
ロサンゼルスに移って
誰とも付き合わなかったわけではない。
だけど、やっぱり花が忘れられないことを
確認し続ける一年だった。
花に会える。
そんな日が来るとは思ってもみなかった。
こんな気持ちになるなんて
思ってもみなかった。
誰かに会いたくて
ずっと切ない気持ちでいるなんて
今まで一度もなかった。
彼女がいない時期はほとんどなかったし
振られたこともなかった。
30過ぎて、これだけ経験してきて
笑っちゃうけど
きっと、これが初恋なんだろう。
扉が開く。
「お久しぶりです」懐かしい笑顔だ。
抱き締めたい衝動を必死で押し殺す。
「久しぶり」
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