13


 私の心は死にました。

 でも、死にかけていたあの方の心は救われました。

 私の声――いいえ、シリア様の声に、セルディ様は泣きました。いつもの冷静なあの方とは思えないくらい、まるで子供のように。

 泣きながらすがり、何度も何度も名を呼びました。

「シリア! シリア、シリア……」

 その度に、私はどんどん消えていき、石ころよりも冷たい固まりになりました。

 それでも私は泣きながら、あの方の愛を受け入れました。

 シリアの姿で、私は消え去る私の悲鳴をあげました。本当は、すべてを解放して、心から叫びたかったことを。

「ああ、セルディ! 愛している! もっと……もっと私を愛して!」

 私はあの方に懇願し、すがり、泣き、虚しい愛を求めました。ますます自分が消えていくと知りながら。

 あの方は私の懇願に心から満足し、私の望み通りに、私を……いえ、シリア様を愛し続けたのです。



 今夜だけ、私はシリアになろう。

 それで、セルディ様が救われるなら。

 そして、明日には遠くへ行こう。

 たとえ、レサでないとしても、愛されたことを忘れずに思い出にして。

 もう二度と、セルディ様とは会えない遠くに……。


 ああ、なんて優しいのでしょう。

 優しく愛してくださるのでしょう。


 本当は……こんなふうに優しくしてあげたかったのね?

 本当は……こんなふうに大事にしてあげたかったのね?

 いったいどうして、どこですれ違って、こんなことになるのかしら?

 セルディ様、あなたの心がとても痛いの。

 だから、私は泣いているのに。それが辛くて泣いているのに。

 なぜ、あなたはそんなに優しく私を慰めてくれるのかしら?

 本当は……シリア様が受ける優しさを、こうして私は受けているのね。


 それだけでも……幸せ。

 受け入れてあげられて幸せ。


 ね? そう思って、もう消えてしまいましょうよ。レサ。

 もう、こんな辛い恋はいらない――

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