1:普段どんな本読むんですか?
すぽん: その前になんですけど、海野先生って普段どんな本読むんですか?
すぽん: 個人的に興味があるし、他の人も興味あってもおかしくないと思うんですよね、作品に表れるし
しぃる: それ大事だな。まず神林長平先生です。海賊課シリーズ、最強の宇宙海賊大好きです。そのうち邪神戦艦に乗った宇宙海賊とかやりたいですね
すぽん: あー
すぽん: ぼくは未読なんですけど、たまに言ってますよね
しぃる: 神林長平先生は良いですよ
すぽん: SFやミステリに疎いんですよね……
しぃる: 言葉の持つ力の限界に挑戦する感じがあって憧れる。ちなみに俺もミステリはクソ弱いです
すぽん: なるほどなあ。他には?
しぃる: 浅田次郎さんな訳ですよ
すぽん: その心は?
しぃる: あの邪神任侠の最後でさーマリアちゃん殺した後の禮次郎のさー「まだ人間だよ」みたいなセリフあるじゃんー
すぽん: うんうん
しぃる: あそこで出したかった味わいが僕が浅田次郎先生の書くアウトロー主人公の小説群読んだ時に感じた味わいなんですよ
しぃる: 血の通う人間が生きるために悪党やって、心の中の何かがきしんでいくエモみ、人間の弱さに寄り添うあれ
すぽん: なるほどね
すぽん: 海野先生は「かっこいい」ものに対して非常に敏感だなって読んでて思いました
しぃる: それ~~~~!
しぃる: 格好いいものが好きなんだよなあ~!
すぽん: 「邪神任侠」では料理やお酒がわりと出てくるんやけど、JCが作る料理がラタトゥイユやったり、酒も料理もなんかいちいちお洒落やったりするやん。萌え系やったらJCはオムライスとか作るんちゃう?
しぃる: あのラタトゥイユ、今まで見たことも無いのに写真とかレシピからそれっぽく作っちゃうんですよね。クチナシちゃんの天才性の細かい演出だったりします。編集さんとダブルクロスのノイマンだって話をしてました。あとまあタフな札幌のインテリヤクザの隣に寄り添う女が可愛いオムライス作っても格好つかないでしょ?
すぽん:まあやっぱりかっこいい系の創作にはなんかかっこいいが不可欠よね
しぃる:左様
すぽん: まあ、そこで趣味をいかに出すかっていうのもいい小説を書く上で欠かせないですからね。むやみに出すと性癖の押し売りだし
しぃる: 虚淵先生っぽいもの書きて~~~~~~~!みたいなのがあったよね。あと禮次郎の造形とか西部劇のガンマンですよ、祖父が西部劇好きだったのです
すぽん: ガンマン
しぃる: コルトSAAとデリンジャーをぶん回して悪党どもをぶち抜くガンマンをやりたかった
すぽん: あと主人公の煙草がキャメル(笑)
しぃる: 性癖が難儀なだけで孤高のガンマンですからw
しぃる: って、俺の話ばかりじゃないですか! 照れるじゃん! 無理やりうさぎや先生の話にさせてもらうけど、うさぎや作品はなんというか優しさというか、常に人の弱さに寄り添っている系だよね
しぃる: 俺は「Change or Die!」とか「Do or Die!」ってシャウトし続けるけど、うさぎや先生は立ち上がれるまで暖かく優しく照らそうとするじゃん
すぽん: ぼくは元々純文学が好きなんで
すぽん: 高校時代は姉の影響で、安倍公房とか遠藤周作とかそういうのを好んで読んでました
しぃる: 安部公房、棒と砂の女くらいしか読んでいないけど面白いよね
すぽん: 僕は基本的にラノベやエンタメ系の小説をあまり読まないんですよ
すぽん: エンタメ系で好きなのは森見登美彦先生ぐらいです
すぽん: 多分、それは読んでた本が基本的に弱者というか、マイノリティの人じゃないと純文学を書こうとしないと思うんですよね
しぃる: 確かにな……
すぽん: 純文学とかは、本当に「なんでこいつこんなことで困ってるんだ?」ってものばっかりなんですよ、冷静になると。変な人ばっかりなんです。
しぃる: ※近代文学も教科書レベルに毛が生えた程度で詳しくない
すぽん: じゃあ、そんなぐらいでお互いの小説の話をしましょうか。
しぃる: いや、話そのものはもっと聞かせてくれ!
すぽん: えーっ
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