3:理系学生たちの憂鬱

すぽん: そういえば海野先生は薬学部で、ぼくは医学部っていう大学生作家ですね


しぃる: ですです


しぃる: 俺、薬局に就職してのんびり片田舎で小説書くんだ……


※4月に内々定をいただき、6月入ってすぐに内定をいただきました、皆さんお祝い代わりに邪神任侠書籍版を買っておいてください


すぽん: いわゆる理系の学生なんですけど、小説を書いているっていうの、大学辛くないですか?


しぃる: 辛いね


しぃる: めちゃつらい


しぃる: おかげで彼女も作れない


すぽん: ぼく、自分が本当は文系人間だったんだって気づいたの、大学入ってからだったんですよ


しぃる: えっ


しぃる: それ地獄じゃないですか……


しぃる: 「安心して食うために理系科目嫌いだけど頑張るか~」ぐらいの気持ちで進路決めてた身としては……入ってから気づくって本当にそれ辛いやつじゃないですか……


すぽん: まず一年生のときの数学と物理でくじけますよね


しぃる: あー、しんどかったですね俺も


しぃる: 大学数学の行列とかいう(自主規制)


すぽん: 受験勉強のときとまるで違うじゃないですか、学問の理系って


しぃる: ですね!


すぽん: 受験勉強での数学やら物理は得意だったので、それで理系に行けと言われて、本当は文系に行きたかったんですけど、仕方なく理系に行きました


しぃる: 俺は家が文系の一族だったのですが、研究者をしている父親が悪い男で「いいかい……しぃる? 君のなりたい研究者ってのはね……食っていけないんだよ」って幼い僕に吹き込んだんですよ


すぽん: 理系の学問って文系と本当に真逆で、特に作家にはめちゃくちゃしんどいと思うんですよ


しぃる: 分かる。レポート一つとってもしんどい


しぃる: つまんない文章書かせやがって……ってずっと思ってた


すぽん: 理系の学問って、「複雑でわからんことを考えて簡単にする」が根本にあって


すぽん: 文系はその逆で「考えなくてもいい簡単なことを考えて複雑にする」みたいなところがあると思うんです


しぃる: あー


しぃる: 理解


すぽん: だから文学好きには理系はくそつまらん


しぃる: 俺の場合は実験がとにかく嫌いってのもでかかった


しぃる: ピペットってキーボードよりも扱いが面倒な所あるじゃないですか


すぽん: あれ本当にきらい


しぃる: こんな事する暇があればもっと本を読みたいとかそういうあれがあった


しぃる: 逆に一年生の時の文系科目の講義は楽しかったですね


すぽん: 小説のほうが何万倍も面白いですしね


すぽん: 兎に角、理系の学問からすると文系ってほんまに何してるんやろ、的なところがあるんですよね


しぃる: それ~!


すぽん: まあ、作家なんて理系の人間からしたらほんとに無駄なことをしてるアホなんですよ


しぃる: 分かるわ! そういう目は確かにある! でも理系学問ばっかやってたらピペット振り回す原始人に堕ちるからなって俺ずっと思ってます


すぽん: でも確かにそれはそうで、なんで考えなくてもいいことを一生懸命考えてるんだろってときたまになります。 まあ、それをせざるをえなかったから作家になったみたいなところがありますけど


しぃる: ただまあそれが人間を人間たらしめますからね……


しぃる: 他の人の分までそれをするのが作家の仕事だと思ってます


すぽん: そうですね、ええこと言うなあ


しぃる: だからせざるをえなかった人間が作家になるみたいな


しぃる: いや実はですね


しぃる: 俺、自分自身をそういうことしなくてもいいタイプの人間だと思ってるんですよ


しぃる: 本当なら作家になるタイプじゃないというか


すぽん: ほう


しぃる: 作家になる筈のない人間が、子供みたいな憧れだけで他の可能性を切り捨てて作家になってしまったみたいな


すぽん: おおー


しぃる: だからナチュラルボーン作家組に生まれ持ったパワーみたいなので勝てない部分がある……!


しぃる: というのがロジック推しの原点だったりします


すぽん: なるほど、そこで話が戻ってくるわけですね


しぃる: 回収してみましたw


すぽん: 「面白い本」の「面白い」にはいろいろあると思うんですけど、「エンターテイメント」の面白さには正解はあると思うんですよね


すぽん: これは保坂和志先生も言ってました


しぃる: ありますよね、俺もええ感じってことしかつかめてないんですけども

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