作品ごとに磨きがかかる文章。その軽妙なリズム感は清冽な川の流れのごとし。怪異と異能。重厚な世界観ながらも悲愴さや厭世的なイメージを前面に押し出すことのない表現力。絶妙なバランス感覚は作者の特筆すべき長所だ。同じ作者として、仁井暦ごときでは既にライバルという名の同じ土俵にも立てなくなってしまった。次第に遠ざかるデン助さんの背中に弱々しく羨望と嫉妬の手を伸ばしつつ、続きを心待ちにするのである。あゝ、またしても楽しみな作品が増えてしまった(喜)。※第5話「秋雪」まで拝読しました。