第35話 酒が無い!


オレはおやっさんと別れてから、ウラカンとイオタの家を訪ねていた。

久しぶりにゆっくり癒されようと思ったのだが、お悩み相談も兼ねている

事は言うまでもない。自分達の家の周りが劇的に変化したのだから、

少なからず不安があると思うんだ、それを聞きに着ているのだよ。

決して疚しい目的で、ウラカン達に会いに来たのではない!信じて...


ウラカンとイオタはエレメント准男爵の騎士職をしているのだった。

エレメントは州長官「シェリフ」に任命される予定で、アヴェンタが

居城に引っ越したら正式に任命されるそうなのだ。だから、この辺り

一帯はエレメント州長官の担当になる。


(本当はオレが州長官に任命される予定だったのだが...

 アヴェンタちゃんを怒らせたから、オレの出世がぶっ飛んだ!

  オレの館も没収された...はっはははは~どうだぁ~凄いだろ!)


悲しくなるので...過去を思い出したくない...


エレメントの事は、短い付き合いなので良くは解らないが、接した感じでは

悪い人ではなさそうである。良い人でもなさそうかな~?謎な女性?

そんな謎めいた女性に、ウラカンとイオタを預けるオレの気持ちも複雑だ!


ま~オレの行動が原因だから、ウラカンとイオタには悪い事をしたと思ってる。

だから~今回の訪問は、償いの意味合いでもあるのだった!

(ウラカン・イオタ!ごめんね~)


2人とも最近の事で、困ったことは起きてないかな?

「つきれん殿、お久しぶりです。」

『お久しぶりです。』


「困った事ですか?そうですな~」

『最近は、旅人や移住者が増え続けているせいか、私達が食べる物は

     増えましたけど、お酒とかが手に入りにくくなったのです。』

お酒が不足していると!


「それは私も思った。生活必需品は多いけど、お酒だけが手に入らないのだ。」

『つきれん様!何ででしょうね?』

あぁ.....冒険者が増えたせいかな?


「私達の呑む分が冒険者達に呑まれていると?」

『それでは、冒険者が増える一方なのに、私達はどうすれば良いのですか?』

今現在は、食料難だから贅沢品より、食料を優先して取引してるのが現状だから

お酒の取引を増やすって事は、もう少し先になりそうだな.....

≪そんな.....≫


んっ.....待てよ!2人とも少し散歩しませんか?

≪散歩ですか?≫



{2人は、つきれんの言った意味を理解出来てないようである。}



良いから~良いか~おっ~っと手が滑った!

≪きゃ~~~~!≫




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




{港街ガヤルドの砂浜に来ている}


綺麗な砂浜だぁ~海も綺麗だよ。

「つきれん様?何でこんな場所に着たんだ?」

『ウラカン...近づくと触られるわよ!』


いや~この砂浜で3人で泳ごうと思って...イオタさん警戒しすぎですよ。

「この辺は、小さい時から泳いでいるから、好い場所なら知っているぞ!」

『何を言ってるのウラカン?』


泳ぐってのは冗談ですよ!オレが探してたのは、オレの横にある木ですよ。

「この木の事か?」

『ヤッシーの木がどうしたのですか?』


ヤッシーの実ってココナッツジュースは採れるかな?

「ヤッシーの実の中は、実の汁が入ってるぞ。」

『そうそう!とても甘くて美味しいですよ!』


よっしゃ~!ヤッシーの木でお酒を作りますよ!

≪ヤッシーの木でお酒?≫



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


{つきれんの頭の中で10分クッキング!}


貴方達の頭の中で曲を再生して下さい!

(曲を書くのが面倒です!)


まずは~ヤッシーの木を1本用意してください!


後は、3m~5mのハシゴも必要ですね! 

(ここを忘れると良い事にはなりません!)


それと木の樹液を入れる、細長の樽があればパーフェクト!

(無いなら、そうですね...気合で探せ?ですかね。)


最後に5mのロープがあれば完成です!


(ついでに、パイプみたいな棒もあれば好いですね)


以上の材料が揃いましたら!フライパンで炒め....無くてもいいです!

1.ハシゴを使い、ヤッシーの木に登ります!


2.ヤッシーの実がなってる場所に、穴を開けてください!

  深さはパイプが刺さるくらいでok!


3.穴と棒をセットしたら、今度は樽をロープで縛ります。


4.それを1本の木に、4箇所程に設置して終了ですね!


5.1日経過したら、木に付けた樽を回収しましょう!


これでヤッシーの木から下ろした時には、既にお酒になっています!

素晴らしいですね!簡単ですね!異世界万歳!密造酒やっほ~!

パームワインとも呼ばれるヤシ酒、カルピス味だそうですよ!


因みに3日経過したヤッシー酒は酢になってます!



実況は、頭の中の私がお送りしました~それでは御機嫌よう!




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



「つきれん様?つきれん様?」

『虚ろな顔して、お酒作りの説明をしないで下さい!恐いです...』

いや~ごめんごめん!


作り方は、2人とも解りましたか?簡単ですよね!

≪はい!≫


では~ゴブリナ達に作業をさせてくださいね。

「これで、美味しいお酒が呑める~!」

『お酒だわぁ~!でも...美味しいのかしら?』


甘いお酒が呑めますよ!それとヤッシー酒と実を混ぜてシェークすると

カクテルにもなりますので、お酒が強くない人にもオススメできます。


「シェークとはなんですか?」

『後ぉ~カクテルってのは?』


コップにお酒と実の汁...実の汁はこれからココナッツと呼びます!

それを両方コップに入れたら、コップに蓋をして...思い切りフリマス!

フリマス!もっとフリマス!そして~出来上がった物をコップに移せば、

これで完成です。この完成品をカクテルと言いますよ。

≪ふむふむ!なるほど!≫


城壁の外にもヤッシーの木はありますかね?

「あぁ~この浜辺が続く限りありますぞ。」

『ヤッシーの木なんって、幾らでも城壁の外にあります。』


ここのヤッシーの木の所有権はゴブリナ族にあると思うので、エレメント卿に

説明してから使えば良いですよ!それで問題は起こらないかと。

≪はい!≫


それと...2人とも耳を近づけて下さい!

「はい」

『.....はい』



{2人は、つきれんに耳を近づけた。}


ふっ~!

≪きゃ~~!≫


冗談です!キリッ!

「何をしてるのですか!」

『エレメント様に言いつけますよ!』


なら~真面目に話しましょう!近くに!


躊躇ためらう2人!}


さ~早く!


2人は意を決して近づく!


此処だけの話ですけど.....実は!


衝撃の事実!(なのかも知れない?)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る