第22話 可愛くても強いです。


{その日の夜の事}


ヴェネーノ様、聞こえますか?

「聞こえてるよ。」


実はですね、8日後に港町トゥールズに行くんですけど。

海の眷属の船で、早速、交易を試験的に始めようと、思ったんですけど。

ヴェネーノ様の方は、大丈夫そうですか?


「8日後なら、大丈夫だ。」

それなら、トゥールズに8日後、眷属の船を派遣して下さいますか。


「それなら、こちらも交易品を、皇国に持っていっても良いかな?」

持ってきても、大丈夫と思いますよ。


明日にでも、大臣達には伝えておきます。

交易が終わり次第、ガヤルド大陸に向けて出発しましょう。

「うむ、分かった。」


途中で、海の眷属の拠点にも、寄りたいのですが、いいですかね?

「それは、かまわないが?どうしてだ?」


天秤ポータルの拠点情報が、欲しいのですよ。

「あっ、なるほどな。」


「それでは、8日後に会おうぞ。」

ヴェネーノ様が来るんですか?


「当たり前だ。今回の交易は、海の眷属の繁栄が、掛かっているのだから。」

なるほど、一族の長として、当然の行動ですよね。


「うむ。」


{会話も終ったので、明日に備えて、寝る事にした。}




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



{大臣達と会談中}


海の神・ヴェネーノ様が、直々に港町トゥールズに、交易品を持ってくるそうです。

日にちは、8日後としております。


「ヴェネーノ様が直々に来るのですか?」

『それは、偉い事になりましたな。』


騒ぐ事もないかと、思いますけどね。海の眷属の品物を買う為の代金と、新しい街に持っていく、食料・生活必需品と代金を、揃えれば良いだけですからね。


海の眷属と、貴国の取引が終わりましたら、海の眷属の拠点に向けて出発します。

「海の眷属の、拠点に行けるのですか?」

『それは、楽しみですな。』


「王城から、交易品の代金を運ばせましょう。」

『海の眷属との取引は、大丈夫です。』


これで、試験交易も、恙無つつがなく済むでしょうね。

《そうですな。》


{ウラカン・イオタの村の食料もこれで、暫くは持つはずだ。}



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



{首都から港町に出発する日の朝。}


レッチャットさん、ハラマ犬、行きましょうか。

「旅って、わくわくしますよね。」

『ばふばふ。』



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



「秋月卿ご一行は、こちらの馬車をお使い下さいませ。」

ありがとうございます。


さぁ~みんな、早く荷物を置いて、馬車に乗るよ。

《はい。》



{レッチャットは、楽しそうに外を指差しながら、オレに話しかけてくる。}

{ハラマは、常に何かを食べているね...}


「つきれん様、滝がありますよ、滝。」

ここは、綺麗な場所ですね。


「もっとゆっくり出来たら、また来たいですね。」

それでは、2人だけで、遊びに来ますか?


{レッチャットの顔が、みるみる真っ赤になった。}


冗談ですよ、冗談。

「男性と...そんなお泊り何って...まずは、お付き合いから始めないと...」


{1人、脳内妄想で盛り上がっている。}


レッチャットさん?もしもし?

(また1人、旅立ってしまった...)


{そして2日が、過ぎて行った。}


後1日で、港町に着きますね。

「やったー。」

『魚料理を食べましょうね。』



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



{異変は、急に訪れるものだ。}


「つきれん様、何かが此方を見ています。」

『襲撃かな?』

誰が襲ってくるのですね?


直ぐに、みなに知らせて下さい。

「わかりました。」

『大変だ、何者かの襲撃だ~。』


{馬車の中で、叫んだら煩いでしょ。}


御者の方が、ハラマさんの声が聞こえたのか、叫びだしましたね。

「そうみたいですね。」

『褒めて、褒めて。』


はいはい、えらいよ~(棒)

『きゃい~ん♡』


{護衛の騎士達が、馬車を囲む。}


<何者だ!皇国の者と知っての狼藉か?>


外から、騎士の人の声が、聞こえてくるね。

オレ達も、外に出ますか?


「つきれん様は、馬車で待機してて下さい。」

『そうそう。』


{そう言うと、2人は外に飛び出して行った。}


オレって、戦力外なのかな?

ふっ...笑止、オレにはピコハンがあるのだ!


{つきれんも、外に出て行った。}



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



{外に出てみると。}


魔獣と怪しげな人達が、大挙して押し寄せてるよ。

人数は、少ないようだな、敵は、10人前後って所かな?


あっ...既にレッチャットさんが無双してるわ。

オレって...戦力外でした...それと意外と、ハラマも強いのね?


「つきれん様、全員、捕らえましたよ。」

『楽勝だよ。』


神族、恐るべし!


ご苦労様、首領は、何処にいますか?

「どれでしょうね?」

『知りません!』


後は騎士の人に、任せましょうか。

《はい。》


それでは、後の事はお願いします。

<ご協力に感謝します。>


(港町に着いたら、襲撃者の事を、騎士の人に聞いてみよう。)




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



{その後は、何事もなく、無事に港町トゥールズに到着した。}


皇国の人と、海の眷属との交易が、終るまでは暇ですね。

騎士の所にでも行って、襲撃者の事を聞いて見ますか?

「そうしましょう。」

『屋台に寄ってくださいね。』


{騎士の詰め所に行く途中の屋台で、買い物をしてしまった。}


すいません。先日の襲撃者の事を、聞きに着たんですけど。

<あっ この前はどうも。>


{騎士隊長が、出てきてくれた。}


襲撃の背後関係は、何かわかりましたか?

もしかして、アヴェンタドール様に恨みがあるとか?


<あの者達は、違法な奴隷商人達でした。>

なんですって!


<近くの村に、子供や女性を攫いに行く途中だったみたいで。>

被害者が出なくて良かったですね。


<まったくです。>

他にも仲間が、近くに居たりするのですか?


<この街の近くにアジトが、あるみたいなのですが。>

あぁ~アジトの場所を、聞きだせないでいると?


<面目ない次第です。>

わかりました。私の部下を1人お貸ししましょう。


ハラマ君、悪い人を懲らしめて、あげなさい。

『拷問天使・ハラマちゃんの出番だね?』



(拷問天使ってあるのか?ノリだよね?)

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