第6話 嘆きのケサロサ

「おいっ!クルド、こりゃ速すぎやしないか。あんまり速すぎて俺たち落ちそうだぜ」

「ゴメンね。それだけ急いでいるんだ。頑張ってね」

「どうしてそんなに急ぐ必要があるんだい?」

「えへっ!グキラメデス様との約束で、お昼までに会う約束をしてるんだよ」


 飛び続け、ガタシカ大陸の東の海岸線に出て来た。ガタシカのこちら側の海岸線は岩だらけで、大きな谷間が何本も海岸線沿ってみられた。その内の一本に入って行くクルド。ここは川なのか多少の草や木々がみられる。この川の上流にまでさかのぼってくると大きな洞窟があった。


「ここだよ」

クルドは中に入ってゆく。

「ケサロサ様。居てますか〜」


俺たちは大きな洞窟の中へと進んでいく、何故か変に明るい。奥に行くほど明るくなっていく。

「クルド、どうして明るくなっていくんだい」

「そうだねきっとケサロサ様の力なんだろうね」

そう言ってクルドは俺たちを乗せたまま進んでいく。

「よく来た。アキオ」


「えっ!クルドじゃぁないのか。俺?」

「ああそうじゃ。お前のことを待っておったのじゃ」

「クルドの聖印をもらいに来たんですが」

「分かっておる。分かっておる。それはもう渡す準備が出来ておる」

「では俺に用とは?何があるのです」

「それはただ単に興味が湧いたからじゃぁ。気にするな」

「ケサロサ様、おかしい事を申されます。ドラゴンにとって人など眼中にない生き物。それで俺に何故興味が沸くのです?」


ケサロサは少し唸りながら考えていた。それで重い口を開いて話を始めた。

「お前は父を探しているはず。そして、必ず会うと申しておる。それをやめてくれぬかと申しても、ダメなんじゃろうなぁ」

「俺はクルドに告げられました。必ず会わねばならない。その時は近いと」

「そこまで知っておるのか?悲しみの果てに全てが終わると聞いておるのか?」

「はい。必ず不幸な結果をもたらすと聞き及んでおります」

「それでも行くか?」

「当然です。行かねばなりません」

「あぁ!さても悲しき定めを持つものよ。お前はこの旅で何を得るべきか」

「俺は友と呼べる存在と一緒に進んでいます。これは最高の旅となります」

「そうであった。・・・・・・・」

「ケサロサ様!どうかなさいましたか」

「アキオよ。お前にこれを与えよう」

「これは?」

「うん。死滅の玉だ。これが必要になる。よくよく覚悟あるべき事を思い知るべし。もう行って良い。クルドには聖印を渡してある。お前には死滅の玉を渡した。これでやるべき事は終わった。死滅の玉の使い所は思い切りが必要じゃぞ。これからお前はもっと冷酷にならねばならぬ。死を司る神となるのだから。さあ、行きなさい」


大聖龍ケサロサはうな垂れ、もう一言も応えない。辺りは段々と暗くなりつつあった。

「アキオ。さあ、帰ろう。ケサロサ様がもう帰れとおっしゃっておられる様だ。ここから出よう」

「そうだな」




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