エッチな召喚士の変態的召喚論

第185話 絶対魅力

予選のスケジュールはハードでその日のうちに全試合が消化される……次の試合まではまだ時間があるので、今のうちにお昼ご飯を食べることにした。

「次の試合の相手が今試合してるんだろ、見とかなくて大丈夫か」

シュラが常識的な助言をしてくるが俺は堂々とこう答えた。

「大丈夫、次の試合は貧乳ゴスロリ女に任せるからどうでもいい」

「ちょっと、醜い男！　どうして私と試合する相手がどうでもいいのよ！」

「相手が誰でも勝つんだろ？　いや負けるのは禁止だし、負けたら裸で町内一周な」

「くっ……醜い見た目は心にも反映されるようね……いいわ、絶対に勝ってやる……誰に裸を見られても我慢できるけど……あなただけには見られたくない！」

「ほほう……貧乳ゴスロリの上に露出狂とはな……」

「だから、貧乳ゴスロリってどう言う意味よ！」

「ふっ……しらん！」

「知らない言葉を堂々と言うんじゃないわよ！」

「喧嘩するほど仲が良いって言うからな……意外にジンタとカーミラって相性良いんじゃないか」

シュラがとんでもないこと言い出す。

「な……何言い出すのよシュラちゃん！　相性いいわけないでしょ」

慌ててニジナがそれを否定する……どうしてニジナがそこまで必死で否定するのかは不明だ。

「どうでもいいけど食べないの？　美味しいよ、この生魚」

不毛な言い合いを止めるように、ティフェンがそう言ってくる。

「……ちょっと待て……生なのかコレ……」

「ドロキアの名物の一つらしいわよ」

「馬鹿野郎！　吐き出せ！　魚なんか生で食べたら死んじまうぞ！」

「いや……美味しいって、ジンタも騙されたと思って食べなよ」

「死んだじっちゃんに生魚だけは死んでも食うなって言われてんだよ！」

「いいから、ほら、みんな食べてるから平気だって」

そう言いながらティフェンに無理やり生魚を口に入れられた。

「ぐっ…………う……美味い……」

「でしょ、ほら、もっと食べて」

美味いと思ってしまうともうダメだ、じっちゃんの言葉など忘れて、パクパクと生魚を食べまくってしまった。

「ジンタ……大丈夫？」

ティフェンが心配そうにトイレの前でそう言ってくる……やはりじっちゃんの言葉は聞くべきだ……俺は完全無欠にお腹を壊した……

ギュルギュルとお腹を鳴らしながら次の試合を迎えることになってしまった……

「う……お前たちも生魚食べたんだよな……どうして俺だけ……」

「日頃の行いだろ」

「私は胃腸は丈夫なのよね」

「ユキは何食べても平気」

「醜いとお腹も弱くなるのね」

「お腹を壊すってなんだ？」

なんとかコロシアムの中に入ったが、少しでも油断すれば大変なことになってしまいそうだった。

「と……とにかくこの試合は貧乳ゴスロリ女に任せる……」

「何よ醜い男、作戦とかないわけ」

「ない……好きにしていいぞ」

「ふんっ、まあ、何か言われても聞かないけどね、いいわ、テリシオンの力を見せてあげる」

そう言うとカーミラは一人、コロシアムの真ん中まで堂々と歩いて行った。

「何かの冗談か？　おい、戦うのはこの下品な女モンスターだけか？」

対戦相手のテイマーが怪訝そうにそう指摘してきた、

「私だけでは不服？　それより私を下品と言ったわね、かなり盛大な醜さの男！」

「おうおう、下品なだけじゃなく口も悪いのかよ、醜いってこの美男子の俺のことを言ってるのか！」

いや……美男子って言うには無理があると思う……普通のおっさんだよあんたは……

「それより早く始めましょうよ、私はさっさと終わらせたいの」

「いいだろ、さっさと殺してやるよ下品な女モンスター！　いけ、お前たち、あの女を八つ裂きにしろ！」

雑魚っぽい掛け声で、五体のモンスターが一斉にカーミラに襲いかかった。しかし、カーミラは余裕の表情を浮かべている。

敵のモンスターがカーミラに接近したその時、彼女は何かのスキルを発動した。

「アプソリュート・チャーム！」

その言葉と同時に、敵のモンスターの動きが一斉に止まる……そして驚くことに、モンスターたちは仲間同士で傷つけ始めた。

「な……何してるんだお前たち！　ターゲットが違うぞ！」

おっさんテイマーがそう言うが、モンスターたちは仲間同士で本気で殺す気で同士討ちをやめない。

「ほら、さっさと全滅しなさい」

同士討ちは激しさを増し、一体、また一体と倒れていった……そして最後に残った大きなリザードマンは、自らの腹を剣で刺して自害した。

「勝者、ジンタ！」

なんとも簡単な勝利である……いいのかこれ……