第184話 ゴージャスの実力
予選、最初の試合のゴングが鳴った……その合図と同時に、バンクツは一斉攻撃を命じた。
ゴージャスは一人前に出ると仁王立ちする。
最初に接近してきた一つ目巨人がその大きな拳でゴージャスに殴りかかった……
ガシッ……ゴージャスは、自分の数十倍はあるその一つ目巨人の拳を右手で軽く受け止めた……そして……
「ラビットフット!」
そう叫んで跳躍すると、一つ目巨人のこめかみに右回し蹴りを思いっきり叩き込んだ。
ラビットフットの威力は、あの巨体の一つ目巨人が数十メートルぶっ飛んだことでわかるように凄まじかった……
「つ……強いじゃないかゴージャス……」
その一撃で一つ目巨人は動かなくなる。
次にゴージャスに襲い掛かったのは巨大なトカゲのモンスターであった……巨大な尻尾を振り回してゴージャスに攻撃する……ゴージャスはその尻尾をガシッと掴むと、巨大トカゲをブンブン振り回し始めた……そしてかなり遠心力がついたところで手を離してスタジアムの壁に打ち当てた。
ドラゴンぽいモンスターが大きく口を開けてゴージャスを狙っている……ゴォ〜と妙な咆哮を出しているのを見ると、ブレスか何かを放つようだ……それに気がついたゴージャスはドラゴンぽいのとの間合いを一気に詰める……そして口の上側を叩いた……すると吐き出そうとしたブレスが口の中で誘爆して頭が暴発する……
鎧を着けたトロールのようなモンスターが二体、遅れてゴージャスに近づいてくる……それに気がついたゴージャスは、高く跳躍してこう叫んだ。
「ダブルラビットフット!」
まあ、要は二段蹴りのようだけど、技の切れ味は凄いものだった……一瞬で二体のトロールみたいなのが吹き飛んだ……
「そんな非力そうな奴に何をしてるんだ! 死んでもいいからさっさと倒せ!」
ぶっ倒れた一つ目巨人と、頭が暴発したドラゴンもどきはもう戦闘不能だったが、トカゲとトロールぽい二体はまだ戦えそうだった……しかし……ゴージャスの力に恐れたのか警戒して動こうとしなかった……
「ビビってんじゃねえよ! 後で酷い目にあわすぞ、貴様ら! さっさと殺せ!」
マスターのバンクツのその言葉に逆らえないのか、嫌々ながらモンスターたちは一斉にゴージャスに飛びかかった……ゴージャスは真上に跳躍してそれを避けると、次はこう叫んだ。
「ラビットフットタイフーン!」
回転させながら激しく蹴りを繰り出す技のようで、強烈な蹴りにより、バンクツのモンスターたちは豪快に吹き飛ばされた……ていうか、ゴージャス……どうして技を出す前にいちいち叫ぶんだ……
「立て! 何寝てんだお前ら! 死ぬ以外で寝てんじゃねえよ!」
しかし、バンクツの悲痛な声も虚しく、バンクツのモンスターたちが立ち上がることはなかった……
「勝者、召喚士ジンタ!」
楽勝のゴージャスの一人での勝利──ゴージャスの戦闘力がこれほどまでとは良い計算外である。
「よくやったぞゴージャス」
「いえ、少し時間をかけすぎました、こんなの結果ではジンタさんの期待に応えたとは言えません」
「そ……そんなことないぞ、十分だった」
「いえいえ、まだまだです」
まあ、向上心があるのはいいことだ、俺はそれ以上何も言わなかった。
「やったね、ジンタ、一回戦突破だ」
「俺は何もやってないけどな」
「まあそうだけどね、みんなお疲れ」
「みんな疲れてないけどな、疲れたのはゴージャスだけだ」
「もう……変に揚げ足と取らないでよ」
「そうよ醜い男はこれだから……私は疲れてるわよ、醜い男の近くにいるだけで疲労するのだから」
「貧乳ゴスロリ女は疲れるのを禁止する」
「……何よそれ! 勝手に変な禁止事項作らないでよ!」
「だったら疲れるな! または服を脱げ!」
「意味わかんない!」
「それより、次は貧乳ゴスロリ女の出番だからよろしくな、俺の側にいるより戦ってる方がマシだろ?」
「……ふんっ、どっちもどっちよ!」
どっちにしろカーミラの実力も見ておかないと……いきなり使えないでは困るからな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます