エッチな召喚士の変態的召喚論

第136話 捜索へ向かう

「何勝手にクエスト受けてるのよ」

キネアが捜索クエストを面倒臭いと思ったのか、ブツブツと文句を言ってきた。

俺たちは神器研究所で、テリスから妹の捜索を依頼されると、すぐに研究所を後にして、繁華街にあったお茶屋に入り、今後の話をしていた。

「仕方ないだろう、クエストを受けないと女神の涙の入手方法を教えてくれなかったかもしれないんだぞ」

「あの感じだと別にクエストを受けなくても教えてくれたわよ」

「どんな感じだよ」

「人柄とか雰囲気！」

キネアとの言い合いに、ニジナが俺のフォローをしてくれる。

「まあまあ、キネア、困った人を助けるのは冒険者の勤めだし、ジンタはそれをわかって、クエストを受けたんだと思うよ」

そんなつもりは全くないが、俺はあえてそれを否定はしない。

「ちょっと、ニジナ、自分の男だからって甘すぎるわよ。このジンタが、そこまで考えてるわけないじゃない」

「別に甘くないよ……」

…………うん？　今の会話……ちょっと変じゃないか……誰が誰の何だって？

「甘いわよ、もうちょっと女が尻に敷くくらいが丁度いいのよ」

「私は対等でいたいの」

……いや……なんの話だ？

「それよりジンタ、その捜索する女の子の情報はちゃんと聞いてるのか？」

シュラが横からそう聞いてきた。

「ちゃんと聞いてるぞ、メリューカの森の奥の遺跡から戻ってきてないそうだ、だからまずはその遺跡を調べようと思う」

「いや、そうじゃなくて、容姿の話だよ、どんな可愛い子なんだ」

どうやらシュラもそのテリスの妹に興味があるようだ。

「巨乳の可愛い子ちゃんと聞いている」

「巨乳か〜それは楽しみだな」

心底楽しみな感じでそう言う。

「もう受けちゃったもんは仕方ないけど、ちゃんと報酬も貰わないとダメだからね」

キネアが俺に文句をいい足りないのか、念を押すようにそう言ってくる。

「女神の涙の情報が報酬だろ？」

「何馬鹿なこと言ってるのよ、クエストを受ける報酬が女神の涙の情報で、クエストの完了の報酬は別に決まってるでしょ」

どう決まってるのかわからないけど、まあ、話はわからなくもない……うむ、ここはテリスと妹の二人に、ムフフな報酬を貰ってもいいってことだな。

俺が頭の中で、セイレーン二人との至福の時間を妄想していると、思い出したようにキネアが部外者の存在を指摘する。

「それよりニジナのお姉さんはいつまで私達と一緒にいるの？」

キネアが気になるのもわかる、何の用があるのかエルフィナスは俺たちに付きまとっている。

「私はラミュシャ様の代わりに召喚士と一緒にいるのじゃ、想い人と一緒にいられない哀れな我が女神の為に、召喚士とあんなことや、そんなことをするまでは帰るわけにはいかないのじゃ」

「何よそれ……そもそも女神様がジンタのことをそんな風に思ってるなんてないと思うよ」

ニジナがエルフィナスの言葉を強く否定する。まあ、あのむっつり女神のことだ、俺を性的な目で見ているのは間違いないが、想い人というのは少し違うような気がする。

「まあ、いいけど、一緒にいるんなら仲間として働いてもらうからね」

誰にも厳しいハイレンジャーの冒険者は、友人の姉にも容赦がない。おそらくこき使うつもりでそう言い切った。だけど等のエルフィナスは働くことには抵抗がないのか、少し微笑んで了承する。

「ジンタ、ジークのおっちゃんはどうするの？」

巨大なパフェを食べ終わったユキが、一人別行動をしている仲間のことを思い出させる。

「あっ、そうか……どうしようかな……」

「戦力としては役に立つだろうけど、人探しのクエストじゃいらねえんじゃねえか」

ロッキンガンが身も蓋もないこと言う。

「そうね、色々と面倒臭いし、呼ばなくていいんじゃない」

キネアもロッキンガンに同意する。まあ、俺もそう思うのでここは置いていくことにした。

茶店を出ると、簡単な準備をしてメリューカの森へと向かう。メリューカの森は、街を出て西に向かい、徒歩で数時間ほど行った場所であった。

深い森に入ると、異様な静けさに違和感を感じる。

「静かすぎませんか……」

その雰囲気を懸念したのか、マリフィルがそう言う。

「確かに静かだけど、森なんてこんなもんじゃないかな」

俺のいい加減な意見に、キネアが馬鹿にしたように反論する。

「ジンタって本当に冒険者なのってくらいに警戒心がないわよね。多種多様な生き物がいる森は想像以上に色んな音とか気配があるものよ、流石にここまで静かだと何かあるって思った方がいいわね」

「そうだよね……ちょっとこの森怖いよ……」

ニジナも何かに怯えるようにそう言った。

「私がいるから心配することはない」

一歩前に出たエルフィナスが堂々とそう宣言する。

「そ……そうだね、エルフィナスは元五次職の冒険者だし……」

ニジナのその説明に、皆、驚きの声を上げる。

「五次職といえば、あのダメマスと同格ということか」

俺のその言葉は、かなりわかりやすかったようで、キネアやロッキンガンは安心した顔をする。

「確かにルキアが一緒にいると思えば大体の危険は回避できそうだな」

「魔神クラスの敵が来ても微笑みながら倒しそうだしね」

危険を感じつつも、俺たちはエルフィナスを頼りに、森の奥の遺跡へ向かっていく……