第135話 クエスト依頼
ルービック博士から、女神の涙を分けて貰う為に俺たちは、再び神器研究所へと足を運んだ。
「なんじゃお主ら、そんなに頻繁に来られても、何もわかっとらんぞ」
ルービック博士は、俺たちの顔を見てすぐにそう言ってきた。
「いえ……実はですね、女神の雫の件なのですが……」
「なんじゃ、そっちで何かわかったのか?」
「そうではなく……どうもこちらの勘違いがあったようでして……俺たちに必要なアイテムは、女神の雫ではなく、女神の涙だったようなんです」
「ほほう……やはりそうじゃったか、調べても中々情報が出てこんわけじゃ」
「それでルービック博士に相談なのですが、こちらにある女神の涙を少し分けてもらえないでしょうか」
「こちらにある? 何を言ってるのじゃ、確かにここで女神の涙の研究をしてはいるが、ここには女神の涙なんてありはせんぞ」
「え!!」
ルービック博士の驚きの発言に、シュラが噛み付いた。
「なんだよ、研究してるんだから持ってるんじゃねえのかよ。無いもんどうやって研究してんだよ」
「女神の涙なんて高価なもの、ホイホイ研究に使えるわけないじゃろ、何事も想像力が大事じゃ、こうだったらこうなるんだろうな、ああしたらこうなればいいなって考えるのが一番の研究なのじゃ」
それは果たして研究と呼べるのか疑問だが、1番の問題は俺の楽にクエストクリアーの予定が大幅に狂ってしまったことだ……さて、どうしたもんか──
「それでは、女神の涙を手に入れる方法とかは知りませんか?」
ニジナがナイスな質問をする。その問いにルービック博士は少し考えてこう答えた。
「ワシは知らん」
「…………あんた研究してんだろ! 入手方法とか調べてないのかよ!」
俺の心からのツッコミに、ルービック博士は冷静にこう返答した。
「ワシは研究がしたいだけじゃ、研究対象を手に入れたいとか、実物を見てみたいとか、触って確認したいとか、そんなことは考えたこともないわ」
「あんたの研究って何なんだよ!」
「妄想、空想、幻想、想像がワシの研究スタイルじゃ!」
力強く言い切るその姿に、言い返す言葉が出てこない。困ってフリーズしていると、ルービック博士が話を続ける。
「じゃが……もしかしたら助手のテリス君なら知ってるかもしれんのう……彼は変わり者の研究者じゃからのう」
「変わってるのは多分あんただと思うぞ……」
愚痴のようにそう指摘してしまう。
ここで少しの希望が出てきた。その助手のテリスとやらが真っ当な研究者ならば、女神の涙の入手法ぐらいは知っているだろう。
すぐにその助手のテリスが呼ばれた──テリスはヒューマンではなかった……その姿は翼を持ったモンスターのハーピーのようだが……
「驚いてるようだな。テリス君はセイレーンという種族じゃ、大人しく、知恵のある者たちなので、危害を与えようとはせぬよ」
そんなことはどうでもいい……大人しいとか、知識があるとか関係ない……問題は目の前のテリスが、途轍もなくエロいということだ……背中から生えた白く大きな翼……両足の鳥の足を想像させるリアルなフォルム……白い毛で隠されているが、局部の雰囲気も、人と魔物の中間な感じがにじみ出ている……さらに彼女は白衣を羽織っているのが、何か事情があるのかサイズがあっていない……そう……ダボダボなのだ……なので胸元から豊満なバストがチラチラと見えている……
久しぶりに振り切った……俺は頭が真っ白になると、テリスに豪快に抱きついていた。
「わわっ何をしておるのだ!」
俺の行動に驚くルービック博士と違って、テリスは少しも動じてなかった。
「うふふっ……可愛いお人……」
そう言って俺の行動を完全に受け入れていた。
「何してるのよ、ジンタ! その人は悪いモンスターじゃないのよ!」
どうやら俺がテリスに危害を与えようとしたと思ったのか、ニジナが制止する。
「すみません……ジンタはこう見えても冒険者なので……魔物の気配に反射的に、動いたようでして……」
とりあえずニジナが博士とテリスに謝罪する。
「あなた私に興味があるの? うふふっ……それじゃ、後でいいことする?」
テリスは小声で俺にそう言ってきた……その言葉だけで絶頂を迎えそうである。
「それでテリスさん、女神の涙の入手方法なんですけど……」
空気の読めないニジナが、話を戻す。
「はい……もちろん知ってますわよ、研究している対象の入手法くらい知ってて当然ですわ」
研究してるのにその入手方法すら知らない人間が隣にいるが……
「それを教えて貰えますか」
「もちろん、教えるのは構わないですけど……その前にあなた方に一つお願いがございます」
「お願いですか……」
「実は私の妹が、昨日から行方が分からなくなってまして……今日にでも冒険者組合に捜索のクエストをお願いするつもりでしたの……冒険者の方々とこのように知り合いになるのもご縁ですから、そのクエストを受けて貰えませんか?」
「妹? と言いますと、あなたと同じセイレーンの……」
「はい……私より巨乳で可愛らしい妹です」
「お受けしましょう! その妹さんを探してきます!」
すぐに俺はその願いを引き受けた。うまくいけばお姉さんと妹と同時にいいことができるかもしれない……受けない理由はないだろう。
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