第112話 調査の先
俺のノックに答えるように、村長の家の扉が開かれた。そこから現れたのは12歳くらいの子供であった。
「……何の用だ」
その子供は威圧的にそう質問してきた。同行していたマリフィルが少年に声を掛ける。
「リベベ、この人たちがあなたに話を聞きたいそうよ。少しだけでいいから聞いてもらえる?」
マリフィルがそう話をしているのに、リベベは無表情で彼女に近付き、そして抱きついた。そしてあろうことか、そのまま彼女の胸を揉み始めた。
「ちょっと、リベベ……そこは揉んじゃダメっていつも言ってるでしょ──」
リベベに胸を揉まれたマリフィルは頬を赤らめている。抵抗しているが、無理に引き剥がそうとはしなかった。
なんてエロい奴だ──子供という立場を最大限に利用しやがって……俺はあまりにも羨ましくて、そのエロガキに強烈な怒りが湧き上がった。そんな私情から、犯人はこのガキに間違いないとそう確信することにする。
「ところで犯人──いや、リベベとやら、今から尋問……いや、質問をするから答えるのだ」
「なんだよお前、俺は女の子の話しか聞かないぞ」
リベベは俺を見てそう言う。エロいだけではなく、なんと生意気な奴なんだ。
「昨日の夕方、何をしていた? お前が祭壇近くでウロウロしていたのはわかっているのだぞ」
「何だよそれ、俺はマリフィルに会いに祭壇に行っただけだ」
「嘘を言うんじゃない。青い宝石を盗んだのはお前だろ」
「チッ……誰があんなゴミ盗むかよ」
「ふっ……泥棒はみんなそう言うんだ。今、白状するのならちょっと怒るくらいで勘弁してくれるかもしれないぞ」
「白状も何も盗んでねえって言ってるだろう! もう、帰ってくれよ」
リベベは怒りの言葉を口にしながらマリフィルの胸を揉んでいる。ガキのくせに何と堂々と変態道を突き進んでいるのだ……
「それでは質問を変えるぞ。お前は青い宝石の保管場所を知っていたか?」
「なんだよ、そんなのこの村の人間なら誰でも知っているぞ」
「そうなのか?」
乳を揉まれているマリフィルに聞いてみると、彼女はうなずいて肯定する。
「ゴホッん……では次の質問だ、青い宝石はいつ頃から盗もうと思ったんだ」
「だから盗んでねえって!」
「聞き分けのない奴だな──ここは盗んだことにすれば、みんな幸せになるだろうに」
「そこまで俺を疑うなら証拠を見せろよ! 証拠を!」
確かに俺の個人的な史観でこのままリベベを犯人にするのは無理がありそうだ……そう考えた俺は一度引き下がることにした。
「エロガキよ、証拠を持ってくるから覚悟するがいい」
「へん! 持ってこれるもんなら持ってこいよ!」
村長の家を後にすると、俺たちは村の小さなお茶屋さんでひと休みしていた。
「それにしてもジンタ、リベベに対して態度が厳しかったわね」
「ふん、あいつを見ているとなぜかムカつくのだ……」
「なんか雰囲気がジンタに似てるからじゃない? なんだっけ、同属嫌悪だっけ」
「あのエロガキと同属だと……さすがにそれはないぞ」
「雌の乳を揉むとこはジンタと似てる」
ユキまでもがそんなことを言い出した。
「ジンタってそんなことしてるの……ちょっと軽蔑──」
ニジナが白い目で俺を見る。
くっ……ニジナに軽蔑されても別に構わないが、嫌われると今度からお金を借り難くなるではないか……それは困る。これも全てあのリベべの所為だな……許さんぞエロガキ!
「それでどうするの、証拠って言ったて何かあてはあるの」
キネアが現実的な意見を言う。もちろん、そんなあては無い。
「うむ……キネアよ、何とか祭壇に残っていた気配の一つがリベベのものだと証明できないか?」
「そうね──マリフィルの気配が強すぎるからな……なんとか個別で気配を識別する方法があればいいんだけど」
やはり祭壇にある気配では識別は難しいようだ。
「だったら祭壇の周りの気配を調べるのはどうだ──聞いてると、普段はそんなに村人も寄り付かないんだよな」
「そうか、確かに祭壇周りでマリフィル以外で強い気配が残っているのなら、その人物が限りなく怪しくなってくるわね」
と、いう話になり、祭壇周りの気配を探ることになった。
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