第93話 久しき女神
最近バタバタと忙しく、レベルがかなり上がっているのに女神の祭壇に行ってないことに気がついた。相変わらずランダム召喚でノームばっかり出てくるのを打開すべく、召喚精度の値を上げようと考えている。
女神の祭壇で瞑想に入り、女神ラミュシャと干渉する。すぐに俺は女神に話しかけた。
「久しぶりだな、エロ女神。レベルがかなり上がったぞ」
「……平和な時間も、やがて終わりを迎えるのですね……」
女神の憂鬱なその声のトーンに、他人事のようにジンタは言葉を返す。
「何か嫌なことでもあったのか?」
「……あったのか……いえ、そんな過去の話ではなく、今、この瞬間のことを言っています」
「何を言っているのだ。今は俺と話をしているだけだろ」
「……まあ、いいです。それで今日はどんな用ですか」
「レベルが上がったので、ジョブポイントを振りたいのだ」
「レベル25になったのですか……本当にレベルが上がるのだけは早いですね」
「だけって言葉に悪意を感じるが、今日の俺は心が広い、許してやろう。その代わりにおっぱいを見せてくれ」
「絶対、見せません」
「減るもんじゃないし、いいじゃないか」
「いえ、何か大事なものが擦り減ります」
「エロ女神のくせにカマトトぶってんじゃねえ!」
「いつからエロ女神になったんですか!」
「初めて会ったその時からだ! エロい、体しやがって、どれだけ俺がその胸に顔を埋めたいと思っているか分かるのか!」
「分かりたくもないですし、今後も貴方の考えを理解することはないでしょう」
「ふっ。照れやがって」
「もう、いいです……本題に入りましょう。それでジョブポイントを割り振るのですよね。今、レベルアップで溜まったジョブポイントが12ポイントあります。どう割り振りますか」
「召喚精度に全振りだ」
「……また癖のある振り方ですね……本来なら個人の選んだステータス振りに、女神が意見するなど、あまりないのですが、さすがに助言させてください。どうして貴方は戦闘補正を軽視するのですか、召喚士の力量の目安は戦闘補正にあるんです。このままではいつまで経っても一人前の召喚士になれませんよ」
「ふっ。愚問だ。一人前の召喚士になんぞならなくても構わん。俺は俺の道を行く」
「ふっ……それでは、召喚士の能力を向上させる、サモンハートのスキルも必要ないというのですか」
「サモンハートだと……なんだそれは……」
「サモンハートは、召喚士としてのすべての能力が大幅にアップする、召喚士の必須スキルです。あなた、召喚士なのにそんな基本的なことも知らないんですか」
「くっ……言わせておけば……よかろう。それじゃあ、サモンハートの説明をもっとしてみろよ! エロ女神!」
「……これだけ女神である私の怒りの感情呼び起こすのも、ある意味才能の一つなんですかね……サモンハートは、召喚士のジョブステータスである、召喚精度、戦闘補正、従属補正、召喚数、召喚時間にボーナスポイントをプラスするスキルで、すべての効果を3割ほど上昇させます。効果の大きさから、これを取得することで、召喚士として一人前と認められると言われています」
「なるほど。では、そのサモンハートとやらのスキルを取得してやろう」
「はい。どうぞ、となるわけないでしょ、エロ召喚士! このスキルには発生条件があるんです。それがオールステータス20と呼ばれる取得条件です。それほど難しい条件でもないのに、変な偏りある割り振りばっかりしてるから何時まで経っても取得できないんです」
「……貴様! どうしてもっと早く言わないのだ! 取り返しがつかないではないか」
「知りませんよ、そんなの……ちゃんと調べてればこんな事にはなってないでしょ」
「くっ……圧倒的にジョブポイントが足らないぞ。どうにかしろエロ女神!」
「本来なら見捨てたいところですが……私は女神、すべての冒険者に慈悲を与えなければいけません……それでは、ダメ元でやってみますか……四次ジョブクエストを・・」
「四次ジョブクエストだと!」
女神の口から出た、あるはずのない四次ジョブクエストの存在。そしてダメ元の意味は……そのあと、女神から説明された内容に、さすがの俺も驚きを隠せなかった。
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