第61話 狩りの時間です
俺が起きると、すでにみんな起きて朝食を食べていた。朝食もキネアが作ったのかいつもよりかなり豪勢に見える。
「ジンタ。おはよう」
「おはよう。俺の飯は?」
催促すると、キネアがパンの上に目玉焼きの乗せた物を渡してきた。
「うむ・・なぜ俺だけメニューが違う」
「ごめん。ユキちゃんとシュラちゃんがジンタの分も食べちゃった」
すまなそうにキネアがそう言う。
「こら! ユキ。シュラ。どうしてそういうことするんだ!」
俺が怒ると、ユキとシュラが慌てて言い訳をする。
「いや、キネアの飯、すごく美味くてな。気が付いたら無くなってた」
「悪い。ジンタ。食べちゃった」
「・・・・仕方ねえな・・これも美味そうだからいいか・・」
どうも俺は二人に甘いような気がする。
朝食を食べ終わると、早速狩へと出かけた。狩場はトレジャーボックスの沸きポイントの近くのフロアーで、狩の合間にトレジャーボックスを確認することになった。
狩場に湧くモンスターは、マグマドン、プラズマパンサーなど数種類で、敵のレベルは30から40くらいとかなりハイレベルである。
敵が強いのであまり多くの数を一気に相手にせず、少数を確実に狩っていくことにした。まずはシュラが敵を引きつけて、それを後方からみんなでタコ殴りにする。
シュラが最初に引っ張ってきたのは、昨日の夜に怖い思いをさせられたマグマドンであった。俺のファイヤーボールは通用しないので、ユキのアイシクルランスを中心に、ダメージを与える。さすがのマグマドンでも、ユキのアイシクルランスの攻撃には一溜まりもなく粉砕させられる。どうやら氷結魔法が弱点のようであった。
その手順である程度モンスターを狩り、手頃なところでトレジャーボックスを確認する。まだ沸いてなかったので、少し休憩後に、狩りを再開した。
「この辺の敵にもだいぶ慣れてきたので、一度に狩る数増やすか」
「そうね。少しくらいなら大丈夫そうだね」
そういう話になり、引っ張ってくる数を増やすことにした。
「シュラ。五、六匹くらい引いてきてくれるか」
俺がそう声をかけると、シュラは元気よく返事する。
「任せとけ。パパッと連れてくるぞ」
そしてしばらくするとシュラがモンスターを連れてきたのだけど・・あれは何だ・・あの大群は何なのだ・・
「すまない! いっぱい釣れた!」
「馬鹿! 多すぎだ!」
もはや大群と呼べるほどの数のモンスターを引き連れて、シュラは戻ってきた。乱戦になると、後衛ばかりの俺らのパーティーはかなり危険なことになる。近く前に数を減らす必要があった。
「シュラ、離れろ! ユキ、絶対零度だ!」
シュラを退避させて、ユキに広範囲の絶対零度で攻撃させる。攻撃の範囲内のマグマドンやプラズマパンサーはその攻撃で瞬殺する。だが、耐久力が高く、強力な氷結耐性を持っているアイスゴーレムが10体くらい生き残っている。
「ファイヤーボール!」
ランク8のファイヤーボールが、一体のアイスゴーレムを蒸発させる。だが、まだ生き残ったアイスゴーレムは多い。残念ながら装備でファイヤーボールの威力の底上げはされているが、俺は基本、召喚士で、魔導レベルは低いままである。なので攻撃魔法を撃つまでのキャストタイムはかなり長く、とても連発はできない。
残りのアイスゴーレムはそのまま突進してくる。キネアは武器のスリングショットで攻撃する。だけど、スリングショットから打ち出された鉄の礫は、アイスゴーレムの硬い体に弾き返される。ニジナもレールライトで攻撃するが、とても効果があるようには見えない。
シュラは責任を感じたのか、みんなに攻撃がいかないように一人で必死でアイスゴーレムを引き付ける。そして隙をついてメタルクローでアイスゴーレムにダメージを与えていく。現状、アイスゴーレムに通用する攻撃はシュラのこの攻撃だけであった。
シュラが時間を稼いでいるうちに、俺のファイヤーボールが再度打てるようになった。すぐにアイスゴーレムの一体にファイヤーボールを放ち、消滅させる。だけどこれでまたしばらく打てなくなる。このままではシュラの負担が大きい・・どうにかならないか・・
「少し時間を稼いで!」
キネアがそう声をかけて、何かを準備し始める。リュックから大きな荷物を取り出して、かなり大掛かりな仕掛けをしているようだ。
2分ほどキネアの準備が完了する。その間、シュラがアイスゴーレムの一体を粉砕した。
「シュラちゃん! 壁際に誘い込んで!」
その指示に従って、シュラはアイスゴーレムをうまく誘導して壁際に誘い込む。そこの壁は、さっきキネアがゴソゴソしていた場所である。
「みんな伏せて!」
言われた通りにみんな地面に伏せる。そして次の瞬間、強烈な爆発が巻き起こる。その爆風と壁に挟まれたアイスゴーレムの多くは体を半壊させる。キネアの使ったのは、レンジャー得意の爆発罠である。設置に時間がかかるのが弱点であるが、その威力は今証明したように強力であった。
「よし、今だ! 一斉攻撃!」
体が崩れかけのアイスゴーレムたちに一斉攻撃をかける。さすがに耐久力が大幅に減少しているアイスゴーレムはその攻撃に消滅していく。
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