第52話 買い物上手と思いたい
アクセサリーは大きく分けて、指輪、ペンダント、ネックレス、腕輪、イヤリングなどがある。もちろん効果の高い物は信じられないほどの値段がするのだが、安くて良いものある。それを複数装備するのが、ビンボー冒険者のスタイルであった。
「ニジナの腕輪はすごく高そうだよな。それはどんな効果があるんだ」
目に付いた腕輪を見て、ジンタはそう聞いた。ニジナは、微妙な表情をしてこう答えた。
「え・・と、これは魔力上昇とか、神力の向上とかだよ。まあ、見た目ほどの性能はないかな」
本当はかなりの高性能の腕輪なのだが、ジンタが勘ぐると良くないので、そう言って誤魔化した。
ジンタは何気なくニジナの腕輪のことを聞いたみたいで、それ以上は興味なく聞く事はなかった。
この店でも、新作や高補正の高級品には目もくれず、ジャンクに近い中古品を物色していた。どこの店もそうだけど、売れ残りの在庫の処理には苦労しているようで、山積みにして均一販売をしている。まあ、掘り出し物はこういう中にあるので、それを探すライバルも多い。
ここで悩んでも仕方ないので、必殺の適当チョイスを発動させる。もちろん俺が選ぶと、ろくなことがないのでニジナに選んでもらおう。
「ニジナ。ここのアクセから適当に10個くらい選んでくれ」
三千ゴルド均一の箱を指さしてそう言った。もちろんさっきのことがあるのでニジナは嫌な顔をする。
「え〜。やだよ。変なの選んだら私の所為にするんでしょ。もう選ばないよ」
「ふっ。ニジナの所為にしないかもしれないと約束しよう」
「なんか微妙な言い回しだよね・・もう、知らないからね」
そう言ってニジナは見た目か本当に適当かわからないけど、ヒョイヒョイと箱の中からアクセを選んでいく。
ニジナが選んだのは、指輪が五つ、ペンダントが二つ、腕輪が二つにイヤリングが二つであった。全部で11個。よし、これだけ買えば、二、三個は当たりがあるだろう。
次はニジナの希望でローブ屋さんに寄ることになった。前にここへ来た時に、ローブは新調したばかりなのによくわからん奴だ。
「今着てるローブは気に入らなかったのか?」
やはり疑問だったのでそう聞いてみた。
「え、どうして?」
「いや、それ買ったばっかりだろ」
「だから?」
「・・・・・そんな何着もローブ持っててどうすんだよ」
「女の子はその日の気分に合わせて見た目を変えたい生き物なの」
「・・・まあ、いいけどな」
その店で結局二時間も滞在することになってしまった。しかも二時間もいて、結局何も買わないとか意味がわからん。他人の物を選ぶときはあんなに高速なのに、どうして自分の買い物はこう時間がかかるのかね・・
今度の冒険は、少し遠出することもあり、ポーションも購入することにした。ポーションは使い捨ての割には高額なアイテムで、貧乏冒険者はあまり所持したりしないのだが、少人数のパーティーを救うのは結局こういった準備だったりする。やはり命に代えられないと店を訪れた。
「中級マナポーションは3万ゴルドか・・やっぱり高いな・・」
「でも、ユキちゃんが魔力切れで絶対零度が使用できない時に、これがあったらかなり便利じゃない?」
「確かにそうだな。それじゃあ、一個買っとくか」
ポーション屋では中級マナポーションと、中級ライフポーションを二つ購入した。これだけで、会計は4万ゴルドと、アクセ11個より高い・・
さてと、あらかた欲しいものは買ったので、鑑定屋に向かうことにした。鑑定屋は冒険者百貨店の地下にある。
ポーション屋の裏に、隠れるように階段があったのでそこを降りることにした。普段はみんなが使っている表の階段を使っているのだが、こっちからも普通に下に行けそうである。
そのまま地下までその階段は続いていた。この裏手の階段の近くには怪しい店が多く店舗を構えていて、ちょっとマニアックな雰囲気を醸し出していた。俺はそんな店の一つに、すごく興味のそそる文面を目にする。
『モンスターを愛するあなたに贈る、至高の品々・・・』その店の看板にはそう描かれていた。
まじか・・何が売ってるんだろ。大人のおもちゃ的な何かだろうか・・いかん・・このままスルーなどできないぞ。でもユキもニジナもいるからな・・エッチな店だったらちょっと恥ずかしいぞ・・
だが、俺の好奇心は、そんな羞恥心を大きく上回った。なるべく自然体で、真面目な顔でその店に入っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます