第29話 レベル制限

最近、よく女神の祭壇に来るな・・ジンタはそう思いながら女神との干渉の為に目を閉じた。


「本当、最近よく来ますよね・・普通の冒険者は、多くても月に一度来るかどうかですよ。さすがに疲れるので控えてください」

「こっちは用事があるから来ているのだエロ女神! 貴様の疲れ具合などこっちの知ったこっちゃないわ!」

「なぜ私がエロ女神なのですか! エロいことなど言ったことないでしょ!」

「ふっ。貴様のエロさなど俺は見抜いているのだよ。毎晩俺のことを考えながら、寂しく一人で慰めでいるのだろ」

「勝手な想像しないでください! どうしてあなたを想像してそんなことしないといけないのですか!」

「ほほう・・そんなことって言うからには具体的にそれが何かは理解してるようだな。そして今、お前は少しは自分で自分を慰める想像をしたはずだ! 何がオカズなのだ女神よ。何をオカズに気持ちいいことしたんだ! 言ってみろ!」


「くっ・・・・もういいです。用件を言いなさい」

「ふっ。認めたようだな。心配するな、したくなったらいつでも俺が相手をしてやる」

「したくなりません! いいから用件を言いなさい!」

女神をおちょくるのはこの辺にして、本題に戻ることにした。

「三次ジョブクエストを受けたい」

しかし、女神は間髪入れずにこう言ってきた。

「無理です。受けれません」

「・・・・無理かどうかは俺が決める。受けさせろ!」

「いえ。三次ジョブクエストはレベル制限があります。あなたのレベルでは受けることができないのです」

「意地悪で言ってるのか?」

「そうじゃないです。本当にルールで決まってるのです」

「・・・撤廃しろ、そのレベル制限とやらを!」

「ダメです。これは決まりですから諦めてレベルを上げてきてください」


なんてこった・・まさかこんな落とし穴があるとは・・三次ジョブクエストを受けるにはレベルが20以上にならないといけないらしい・・今の俺のレベルは11だから・・どんだけかかるんだよ。


仕方ない・・・戻って誰かに相談しよう・・


寮に戻ると、丁度ニジナがいたので相談してみることにした。まあ、役に立つことを言うとは思わないが・・

「何よ、ジンタ・・相談って・・」

「実はな・・」

ニジナは何を言われるのかドキドキしていた。まさか告白とかないよね・・そんな気持ちでジンタの言葉を待ってると、拍子抜けするような内容であった。


「レベルを早く上げたい。それも異常なスピードで! 何か方法はないか!」

「・・・・レベル上げ?」

「そうだ。早くレベルを上げる方法はないか。知ってる知識を絞り出すんだ、ニジナ!」

まあ、告白なんかしてくるわけないか・・・レベルを早く上げる方法なんて、私が知ってるわけないじゃないの・・いや・・前に聞いたことあるかも・・確か・・


「パワーレベリング・・・」

「何だそれは! 凄そうなネーミングではないか! どうやるのだ」

「え・・と、確か高レベルの冒険者の力を借りて、高速でレベルを上げる方法だったと思うけど・・」

「それだ! よし、高レベル冒険者に頼もう」


なのでディレイを訪ねる。奴はあれでもサブマスだし、レベルも50超えの冒険者である。

「どうした、ジンタ。用事か?」

「パワーレベリングをお願いしたい」

「パワーレベリング・・まあ、話を聞こうか」


と、聞かれたので、三次ジョブクエストにレベル制限があるので、早くレベルを上げたいと説明した。

「あのな、ジンタ。どうしてそんなに三次ジョブクエストを受けたいんだ? 急ぐ必要ないだろ」

「急がなければダメなのだ。俺の・・俺の・・」

俺の性欲が持たないと言いたいのだが言葉が出ない。すると何を勘違いしたのかディレイが話を進める。

「なるほどな・・まあ、いろいろあるわな・・だけどな、結論から言うと、パワーレベリングはしてやれない。それはギルドルールで決まっているからだ。うちはパワーレベリング禁止なんだよ」

「どうしてだ?」

「いいか、高レベルの冒険者の手によって、レベルだけポンポン上がっても、その本人のプレイヤースキルが向上しなければ、本当の意味での成長にはならないんだよ。苦労して上げたレベルじゃなければ意味がない・・それが俺たちの考えだ」


ディレイの言っている意味はわかる。本来ならそうあるべきだろう。だけど俺の性欲はどうすればいいのだ。なんとかこの窮地だけは脱しないといけない。そう考えてると、ニジナが驚きの提案をしてきた。

「パワーレベリングほどじゃないけど・・・ペア狩りでのレベル上げはどうかな・・」

ニジナの言葉にディレイがすぐに反応する。

「それもお勧めしないぞ、ニジナ。確かにレベルは早く上がるし、プレイヤースキルも向上する。なのでギルドでも止めはしないが・・・危険すぎる」

ディレイの説明に、俺が話を続ける。

「それはどうするのだ。多少危険なのは仕方がない。レベルが早く上がるのなら試す価値はあるぞ」

「本来、6人から10人の多数パーティーで挑戦する狩場を、最小人数のパーティーで挑むの・・本来、かなり危険だと思うけど、ジンタは召喚士で、召喚石のモンスターが二人いるから・・もしかしたら行けるんじゃないかと思って」


なるほど・・召喚石のモンスターの得た経験値はもちろんマスターである俺に入ってくる。シュラが前衛、ユキが火力、ニジナが回復で、パーティーとして成立はしているな・・

「よし、ニジナ。それでいこう。一緒にペア狩りしてくれるか?」

そう俺が言うと、ニジナは微笑んで了承してくれた。

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