第27話 覗きの代償

ニジナとの買い物も終わり寮に帰ってくると、疲れた俺は風呂に入ることにした。寮には大きな大浴場があって、いつでも入れるようになっている。まあ、ギルマスのルキアが風呂好きで、女風呂の方が圧倒的に豪華で広いんだけど・・


そんな豪華な風呂なのでシュラに入るように進めた。最初は大浴場だと他の人がいるので嫌がっていたけど、冒険者で獣人を嫌がる奴なんていないだろうから大丈夫と説得した。まあ、最初はあれなのでニジナに一緒に入ってもらうことになった。


ユキは熱い風呂には入れないので部屋で水を浴びるそうだ。大きな桶をどこからか持ってきて、それに水を張っている。


男湯は、女湯よりは狭いけど、それでも10人くらいが同時に入っても、それほど窮屈には感じないほどの広さがあった。俺は洗い場で体を洗うと、湯船にゆっくりと浸かった。心地よい湯加減に疲れが癒える。


「よう。ジンタ。こんな時間に風呂とは珍しいな」

そう声をかけてきたのはハイシーフのロッキンガンであった。

「今日は疲れたので早めの入浴だ」

「お前でも疲れることあるんだな」

「そりゃ人の子だ。疲れることくらいある」

「いや、人の子ってのを疑ってた」

「・・・・・」


「そうだ、ジンタ。いいポイントを見つけたんだ。ちょっと来いよ」

「なんだそのいいポイントとは」


ロッキンガンがジンタを連れてきたのは、風呂場の奥にある壁の隙間であった。ロッキンガンはその壁の隙間に小さな鏡を置いた。

「普通じゃ角度的に見えねえけど、こうすると女湯が覗けんだよ」

なるほど。そういう、いいポイントか・・まあ、俺には興味がないと湯船に戻ろうとしたのだが・・そういえば今はシュラが風呂に入ってるんじゃなかったか・・うむ。それは見たいぞ・・そう思い直し、覗きに参加した。


女湯を覗けると言っても全体が見えるわけではなく、女湯の一部が見えるだけであった。丁度いい感じの場所に裸体が入ってこなければ何も見えないので、そこに誰か来るのを待った。



シュラとニジナは脱衣室に入ると服を脱ぎ始めた。衣服の少ないシュラはすぐに脱ぎ捨てて裸になると、ニジナが服を脱ぐのをじっと眺めた。

「ちょっとシュラちゃん。あまり見ないでよ。私、胸が小さいから恥ずかしいよ」

「大丈夫。私は胸が小さくても気にしないよ」

「私が気にするんだって・・」


とりあえず、シュラの目線に恐怖を感じたニジナは、タオルで隠しながら服を脱ぎ、そのまま体を隠した。シュラはそんなニジナを見て残念な表情になる。


二人とも洗い場で体を洗い浴槽に入る。程よい湯加減で体の隅々まで温まっていく。


「シュラちゃん。ジンタとうまくやってけそう?」

「そうだな。ジンタは良い奴だ。あれで女だったら惚れている」

「・・・やっぱりシュラちゃんは女の子が好きなんだ」

「うむ。大好きだ」

「・・・・・私をエッチな目で見たらダメだよ」

シュラが絶妙な悲しい顔をする。


そんな会話を二人がしてると、サブマスのエミュリタが近づいてくる。

「その子がジンタの新しい召喚モンスターか」

「そうですよ、エミュリタ」


エミュリタは大人の色気を持つ女性である。前にジンタがエミュリタの事を、ムチを持たすと似合うと言っていたけど、どういう意味だろ・・彼女は武器でムチなど使ってないのに・・


ニジナと比べると、異次元クラスの豊満な胸を持つエミュリタを見て、シュラは興奮を隠せない。


「ニジナ・・・聞いていいか?」

エミュリタが真剣な顔でニジナに問いかける。

「何ですかエミュリタ」

「どうして、ジンタの召喚モンスターは、私にこんなに密着するのだ?」

ニジナは苦笑いしながらこう答える。

「はははっ・・・その子はシュラちゃんって言うんですよ。どうやらエミュリタの事を気に入ったみたいですね・・」

「そうか。私のことが好きになったかシュラ」

何かを勘違いしたエミュリタは、シュラの頭を撫でる。どうやらペットか何かの感覚らしい。だけどシュラは性的目で彼女を見ていた。甘えるようにエミュリタに抱きつくと、自然な感じで胸をいやらしく触る。その絶妙な触り方に、エミュリタも変な気持ちになってくる。


「あっ・・ちょっとシュラよ、あまり胸を触るんじゃないぞ」

しかし、シュラの手は止まるどころか、もっといやらしく彼女を触り始める。そしていよいよ局部へと手が伸びた時、エミュリタの警告スキルが発動する。それはシュラに対する警告ではなかった・・

「男の視線を感じる!」


エミュリタは周りを見渡して、浴槽の壁の隙間に光るものを見つけた。

「そこか!」

そう言って隙間に向かって炎の魔法を放った。炎は壁の隙間を通って男湯の方まで到達する。そこには鏡越しに女湯を覗いていたジンタとロッキンガンがいる。ジンタは少し後ろから見ていたので助かったが、ロッキンガンは炎をまともに食らった。


その後、火傷をして風呂から出たロッキンガンは覗きがバレて、エミュリタに拷問に近いお仕置きを受けていた。


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