第16話 ソロプレイ
一人でイーブルダンジョンへ行くと言ったら、なぜかニジナが怒り出した。
「バカバカと思ってたけど、そこまでバカとは思わなかったわ。あなたのレベルで、イーブルダンジョンの四階層なんて一人で行けるわけないでしょ」
「大丈夫。一人じゃないぞ。ユキがいる」
「確かにユキちゃんは強いけど、彼女はユキジョロウよ。氷結特化で、明確な弱点がある。もし、火炎特化のモンスターに出会ったらどうするのよ・・ユキちゃん溶かされちゃったら、あなた一人でどうするの」
「その場合はガーって助けて、バシッと決める」
「助けれるわけないでしょ!」
力強く言うニジナに、俺はあっけらかんとこう言った。
「とにかく俺は行ってくる。どうしてもジョブポイントが欲しいいんだ」
「・・・もう勝手にしなさいよ!」
どうやらニジナは本気で怒ったようで、そのまま部屋に戻って行ってしまった。どうしてそんなに怒るのか理解できない。
次の日、いつもの冒険装備とは別に野営する準備もすると、俺とユキはイーブルダンジョンへと出発した。だけど、寮の玄関でニジナに呼び止められる。
「ちょっと待ちなさいよ、ジンタ」
「どうしたニジナ、見送りか」
ニジナは無言で皮の袋を俺に手渡した。
「なんだこれは」
「水魔球って言うマジックアイテムよ。火炎属性の敵に効果があるから、いざという時に使いなさい。あと、回復ポーションも入れておいた。どうせ用意してないでしょ」
「おっ気がきくじゃないか。ありがたく貰っておこう」
ニジナにしては気がきく贈り物である。俺はそれをバックパックに入れると、軽く礼を言ってダンジョンへと向かう。ニジナは、俺との距離が少しできるとこう叫んだ。
「絶対生きて帰ってくるのよ!」
俺は手を振ってそれに答えた。
俺とユキはイーブルダンジョンに入ると、迷わず進行ルートを進む。何度か通った道なので、迷うこともなく進んでいると、モンスターポータルの近くで最初の敵に遭遇した。それは三体のオーガで、俺たちを見つけるとすぐに襲いかかってきた。
「ユキ、やっちゃいなさい!」
そう命令すると、ユキが下から上へと軽く手を降る。するとオーガの足元から無数の氷の棘がつきだし、三体のオーガは無残にも串刺しになった。体に隙間がないくらいの棘が刺さってはさすがに体力のあるオーガでも一溜まりもなく、そのまま息絶えて消滅する。
オーガは決してレベルの低いモンスターではない。それを簡単に倒すとは、やはりユキの実力は相当なもののようだ。俺たちはそのまま二階層へと進み、そこで何度か敵と遭遇するが、ユキが苦戦する敵ではなく難なく先に進む。
順調な俺たちに問題が起こったのは三階層のモンスターポータルの近くであった。一瞬、足音が聞こえたと感じた瞬間、俺は吹き飛ばされる。見るとそこには猫の獣人のモンスターが攻撃態勢で立っていた。
一目惚れである。なんとも魅力的な
俺は深く考える前に、その獣人のモンスターに襲いかかっていた。俺のあまりの突然の行動に、身のこなしの素早そうな獣人も避けるのが遅れ、俺に抱きつかれる。俺は彼女の全てを味わう為に、体の全てを密着させた。
ユキはそんな俺の行動が理解できないのか、あろうことか彼女に攻撃をしようとする。
「ジンタ。ちょっと邪魔」
俺が密着しているので攻撃ができないことに、ユキは苛立っている。しかし、そんなことは知ったことではない。俺は今、幸せなのだ。
俺は密着しながら、獣人の豊満な胸をモミモミする。するとこの行動に、異常な恐怖を感じたのか、獣人が小さく叫ぶ。そして力一杯俺を引き離すと、そのまま一目散に逃げてしまった。くっ・・もっと色々したかったのに・・
「ジンタ。どうしておっぱい揉んだ?」
ユキが俺の行動に疑問を持って聞いてきた。
「うむ。それが奴の弱点だからだ」
「そか・・だから逃げたんだ。ジンタ、頭いいな」
俺はユキの疑問を適当にあしらうと、手に残った胸の感触の余韻を心に刻んだ。
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