第15話 召喚制限

冒険者組合にやってきた俺は、担当を捕まえると、こう言葉を投げかけた。

「なぜか召喚ができなくなった。どうしてなのだ」

「・・・え・・と。どのような状況ですか」

担当も唐突な質問に困惑している。


「スキルパネルを開いて、使おうとするのだけど、パネルがグレーになって使えんのだ」

担当は少し考えると、想定される問題が思い立ったのか答えてくれる。

「・・・それは召喚制限に引っかかってるんじゃないんですか」

「召喚制限・・なんだそれは」

「何かしらの条件で召喚ができない状況のことです。召喚禁止フィールドだったり、同時召喚数のオーバーだったりと幾つか考えられます」

「なるほど。しかし、そんな召喚禁止フィールドでの話でもないしな・・」

「失礼ですが、召喚数のステータスはいくつですか」

「召喚数は2だがそれがどうした」

「召喚数が2だと、同時に召喚できるモンスターは一体ですね。二体目を召喚しようとしてるとかないですか」

「・・・・・ちょっと待てよ。召喚石で召喚されたモンスターもその数に入るのか?」

「もちろん入りますよ。召喚制御数みたいな意味ですからね、自分の支配下にある召喚モンスターはどんなカテゴリーでも数に入ります」


ユキだ・・・彼女が召喚状態なので、追加の召喚ができなくなってるのか・・それにしても召喚数が2なら二体召喚できでもいいじゃないか。

「ちなみに聞くが、召喚数がいくつなら二体召喚できるようになるんだ」

「20ですね」

「・・・・・・マジか・・・」


どうする・・ユキは召喚石に戻る気が全くないぞ。このままでは俺は召喚のできない召喚士になってしまうじゃないか・・

「おい。ジョブポイントが早急に欲しい。どうすればいいのだ」

「ジョブクエストはクリアしましたか?」

「もうしてしまった」

「二次もですか?」

「なんだ二次とは・・」

「ジョブクエストは一つの職で三次まであって、順番に受けることができるんです」

それだ! クソ女神・・・また意図的に言わなかったな・・

「しかし・・」

担当職員が歯切れの悪い態度をとる。

「うむ。どうした、何か問題か」

「ジョブクエストは二次、三次と倍々で難易度が上がっていくんですよ。なので一次のジョブクエストのクリアがギリギリだったりするのであれば、すぐに二次に挑戦するのはやめた方がいいです」


なるほど。まあ、よくわからんが、うちのユキは異常に強い。少しくらい難易度が上がっても問題ないだろ・・そう思い、俺はすぐに女神の祭壇へ向かった。もちろん二次ジョブクエストを受注する為である。


祭壇で女神と干渉するといきなり愚痴を言われる。

「また来たんですか・・こんな頻度で女神の祭壇に来るのはあなたくらいですよ」

「貴様! なぜ二次と三次のジョブクエストのことを言わなかった!」

「ああ・・それですか、それは単純な話です。今のあなたには説明しても意味がないからです」

「意味がないだと・・意味がないかどうかは聞いてから俺が決める!」

「・・・それじゃ、教えましょう。二次ジョブクエストの推奨レベルは20です。あなたまだ11ですよね。さすがに受注レベルが足りません。しかも二次ジョブクエストはソロ限定のクエストで誰の助けも得られないんです。無意味というより無理なのです」


「ふっ・・神とてその程度か・・無理などと誰が決めたのだそんなこと! 俺は不可能を可能にしたいと常々思っている!」

「そこまで言うならいいでしょう。二次ジョブクエストを発注しましょう。しかし、死んでも責任は持ちませんよ」

「おうよ、童貞で死ぬほど俺もバカじゃない」

「・・・・童貞なんですね・・ふっ・・」

「貴様・・今、鼻で笑ったな!」

「いえいえ・・いつもスケベなことばっかり考えているので、てっきり経験済みかと思いまして・・まさかそんなあなたが童貞って・・ふっ・・」

「また鼻で笑ったな! 人の弱みを笑うなど、貴様、それでも女神か!」

「女神だって人を見て態度を変えることくらいあります」

「あっちゃいかんことだろそれ!」


女神は面倒くさくなったのか、早口でクエストの内容を説明したら干渉を強制的に切りやがった。


次のターゲットは、イーブルダンジョン四階層に住む。アイストロル・・氷結耐性を持つモンスターである。ソロ限定でのクエストなので、今回はパーティーを組むことができない。しかも四階層は遠いので、日帰りでの挑戦が難しく、どうしても泊まりでの冒険になりそうだった。




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