第10話 鉄壁のモンスター

ニジナの回復魔法で、背中の傷もだいぶ癒された。しかし、体力の消耗が激しいとの判断で、ジョブクエストのターゲットであるアルマジロンへの挑戦は一度だけと決まった。


目的のアルマジロンの生息地に行く前に、セーフティーゾーンと呼ばれる安全地帯にたどり着く。そこは周囲にモンスターポータルが無く、ダンジョン内では比較的安全に過ごすことができる場所であった。ちょうど良いので、ターゲットを探す前に食事をとって休憩することになった。まあ、食事といってもパンに干し肉と豆のスープといった簡単なものだけど、ダンジョンでは定番のメニューで、栄養もあるし、不味くはないので問題ない。


「ディレイ。そういえばギルマス最近見ないけど何処行ってんの」

食事をしながら、不意にニジナがディレイに問いかけた。確かに三ヶ月ほどギルマスを見ていない。職務怠慢だと俺も思い始めたところである。


「ルキアはジークや赤帝のギルマスたちと、エギナダンジョンに行ってるぞ」

「うわ・・最強パーティーだね。エギナのダンジョンレコード更新しそう」

「まあ、ちゃんと無事に帰ってくれればいいけど」


ルキアはうちのギルマスで、大陸に12人しかいない5次職の冒険者である。ジークはディレイと同じく、うちのサブマスの一人で、4次職の冒険者なんだけど、強者揃いの4次職の中でも最強と言われ、戦闘に特化しているバトルマニアだ。赤帝は、正確には赤の帝団と言われるギルドで、ギルマスのオフィルスはルキアと同じ5次職、二人が友人ということもあってうちと赤帝はギルド同盟を結んでいるのだ。


そんな話をしながら食事も終わり、少し休憩後に目的のアルマジロンの生息地へと向かった。


アルマジロンの生息地は砂地の洞窟であった。俺たちは慎重に進んで、アルマジロンを探す。砂の中に隠れていることも多いので、砂の中も棒を砂に入れて調べながら進んでいた。


そうやってしばらく探していると、少し先にある砂が大きく盛り上がった。何かの登場にみんな身構える。


現れたのは予想通りアルマジロンであった。鉄のような皮膚がいくつも重なりあったような体に、丸まれば死角のなくなる特殊な構造の作りになっている防御型のモンスター・・丸まればその防御力が増すので、その前に仕留めたい。

「ジンタ! ターゲットだぞ」

「わかってる」

そう言って俺は、スキルパネルを開く。そしてすぐにランダム召喚スキルを実行した。


現れたのはドリアードであった。久々の登場に、俺の頬を涙が伝う。


「何してる、ジンタ! 早く攻撃させろ!」

俺はドリアードを愛おしく見つめていた。こんなエロい体に、戦闘などさせてどうするのだ。まあ、さっき戦ったシュレイブローダーなら、触手プレイで見ごたえがあったかもしれんが・・


「やばいよ。ジンタの様子がおかしい・・もしかしたらマインド攻撃を食らってるんじゃないの」

「うむ・・・アルマジロンにそんな特殊攻撃ないと思ったけど・・・」


しばらくじっと見つめていたのだが、ドリアードが口を開いた。

「マスター。時間が来ました。またのご利用お待ちしています」

そう言って消えていった。


「ジンタ、どうした。何があったんだ」

そう仲間が声をかけてくる。久しぶりにドリアードを召喚できて嬉しすぎて見つめていたとはいえずに、適当な言い訳をした。

「いや、ドリアードでどう攻撃すればいいか思いつかなくてな・・」

「そうか、確かにドリアードでアルマジロンと戦うのでは相性が悪いかもしれない、次の召喚で決めるつもりだな」


俺たちがゴソゴソしていると、アルマジンロンが唸り声を上げ始めた。なんか少し怒っているようだ。今にもこっちに襲い掛かりそうな目で見ている。


「ジンタ。アルマジロンが興奮してきたぞ。早く次の召喚をしろ!」


言われるまでもない。俺はランダム召喚を実行した。次に現れたのはウンディーネであった。洗礼された女体のフォルムに、俺の興奮はマックスに達する。もう仲間が見ていても関係ない。ウンディーネに俺の逸物を触るように命令しようとした。


だが、その命令を出す前にアルマジロンが動き出した。丸くなったアルマジロンは、グルグルと回転しながらすごい勢いで俺に体当たりを繰り出してきた。ウンディーネに自動防衛命令が発動されて、俺を守る為に動いた。ウンディーネの水の体が俺を包み込むように広がる。それは水の衣と言われるウンディーネのスキルで、対象の防御力を大幅に上げる効果があった。女体のウンディーネに包まれた俺は素晴らしい高揚感が溢れてくる。ダメだ・・なんだこの快感は、自慰では得られることのないその快楽に身を委ねていると、空気の読めないアルマジロンの体当たりが直撃する。さすがの水の衣の防御性能である。通常であれば致命傷になったその攻撃を弾き返す。


だけど時間が来たのかウンディーネがそれで姿を消した。あ・・あの快楽をもう一度・・そう願うがもう彼女がいない・・


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る