第8話 ジョブクエスト

ジョブクエストの受注は、女神から受けることがわかった。俺は喧嘩腰で女神の祭壇へと向かう。


祭壇ですぐに女神と干渉に入る。だが、向こうが拒否しているのかなかなか繋がらない。それでもしつこく何度も何度も挑戦して、やっと諦めたのか女神と繋がることができた。


「おいコラ! 俺に何か言うことがあるんじゃねえかクソ女神」

「女神になんて口を聞くのですかゲス召喚士!」

「ジョブクエスト・・この言葉を聞いてもまだそんなことが言えるのか!」

「・・・・ああ、それね。言い忘れてました。ゴメンなさい」

何の感情もないその謝罪に、俺の怒りがさらに熱を増す。


「貴様! 意地悪するのもいい加減にしろよ! まず胸を揉ませるところから謝罪は始まるんじゃないのか!」

「そんな遥か彼方の謝罪など始まることはありません」

「いいから乳を揉ませろ!」

「乳どころか足も揉ませません!」

「尻でもいいから揉ませてくれ!」

「どこも揉ませません!」

「頼む・・頼むから・・揉まなくてもいい・・触るだけでいいから!」

「そもそも人が女神に触れることはできませんよ。それだけ高貴なものなのです」

「チッ・・それじゃ、話を戻すが、ジョブクエスト受けさせろ」

「ふっ・・それがお願いをする態度ですか」

「なんだと! 俺は冒険者の正当な権利を主張してるんだ。お願いではなく、要請だ!」

「女神の権利として、その要請をお断りします」

「女神にそんな権利など無い!」

「あるわ!」


どうやら俺とこの女神とは、相性がすこぶる悪いようである。言い合いは長い時間続き、女神も俺も疲れ果てた時に、女神が諦めた。

「し・・仕方ないですね・・ジョブクエストを発注しますから受ければいいでしょ、受ければ!」

「は・・は・・・受けてやるよクソ女神・・」


無感情の口調で、簡単にクエストの説明をすると、唐突に女神との干渉が切れた。


召喚士のジョブクエスト・・それは召喚したモンスターだけの攻撃での、ターゲットとなるモンスターの討伐クエストであった。ターゲットのモンスターは、イーブルダンジョンの2階層に住む、アルマジロンと呼ばれる魔獣で、討伐推奨レベルは16と、俺より少し格上のモンスターになる。


前のレベル上げのパーティーでは2階層は厳しいので、新たにパーティーを考える必要があった。うちのギルドのメンバーで、適した者を考えてみる。


まずは真面目に前衛だが、アタッカーとタンクを兼ねて、騎士のロンドベン。アタッカーとして、スナイパーのルドビッヒ。回復はハイプリーストのニジナでいいかな。また、念の為に個人戦闘力の高い、うちのサブマスで、三次職の魔法剣士であるディレイも連れて行こう。彼がいれば全滅はしないだろう。



「ジョブクエストか、まあ、暇だから付き合ってやるよ。だけど、なるべく俺は戦闘しないぞ。甘やかすのは良くない」

ディレイの言葉はもっともである。確かに三次職の彼が本気で戦闘すると、イーブルダンジョンの2階層なんてイージーすぎるだろう。


ルドビッヒとロンドベン、ニジナも同意してくれたので、これでパーティーは決まった。簡単に準備を済ませて、明日の朝早くに出発することになった。


次の日、ギルドの寮の入り口で待ち合わせて、出発の前・・

「召喚士のジョブクエストは討伐クエストなんだろ、ターゲットはどいつだ」

ロンドベンにそう聞かれて答える。

「イーブルダンジョンの2階層にいるアルマジロンって魔獣だ」

そう俺が言うと、ディレイが嫌な顔でこう言ってきた。

「うわ・・それはまた厄介な奴だな・・」

ルドビッヒもその言葉に同意する。

「確か、異常に耐久力のあるモンスターですよね。それを召喚したモンスターだけで倒すのは骨が折れそうだね」

「アルマジロンは確か氷結属性に弱いって聞いたけど、ジンタって氷結系のモンスターは召喚できるの?」

ニジナが意味のわからないことを言い出したので、堂々とこう答える。

「俺の召喚するモンスターはエロいか、エロくないかの二種類だ。氷結系などという概念はない」

「・・・・なにそれ・・・ようは召喚できないのね」

ニジナは俺の答えが理解できなかったのか、そう解釈した。


まあ、とりあえず行ってみようということになり、俺たちはイーブルダンジョンへと向かった。

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