第7話 偏り召喚病
それから、何度も召喚を実行するが、出てくるのは、『父っつあん坊や』ばかりである。女性型のモンスターどころか、ランダムですら無くなっている。これは何かの病気だと判断した俺は、病院へと直行した。
「ランダム召喚スキルで、同じモンスターばっかり出てくる? 何言ってんのあんた、ここ病院だよ」
「いや、だから何かの病気だと思うんですよ。ランダム召喚ですよ、ランダム! どうして同じモンスターばっかり出るんですか」
「知らないよそんなの、なんかの呪いか何かじゃないの?」
「先生・・助けてくださいよ先生! 俺はどうしたらいいんですか!」
「いや、何度も言うけど、ここは病院なの! 病気の人を治す場所だから、そんな得体の知れない状態は治せないよ」
「くそ! 病院ですら俺を見放すのか!」
「とりあえず冒険者組合にでも行ったら? 何か助言をくれるかもよ」
もっともな意見を病院の先生にされて、俺は冒険者組合へと足を運んだ。
「ランダム召喚スキルで同じモンスターばかり出るんですか・・・」
組合の窓口で、担当者が困ったような反応をしている。何かの資料を漁って調べているようだけど、答えが見つからないようだ。
「そんな事象は今までないですね・・ちょっとここではわからないです・・」
「何だそのお役所仕事は! もっとちゃんと調べたらどうだ冒険者税泥棒が! 何の為に俺が冒険者税を払ってると思ってるんだ! こんな時の為だろ、そうだろ!」
「そんなこと言われましても・・」
担当が困っていると、奥からベテランそうな先輩が出てくる。
「どうした、何かあったのか」
「はい。実はこの人がランダム召喚スキルで、同じモンスターばかり出てくると困っているようでして・・・」
「ほう、なるほどね。それで君、召喚の系統にはどれくらいのジョブポイントを振っているんだい」
「精霊に12だけど・・」
俺がそう答えると、先輩職員は少し笑いながらこう返答する。
「それなら多少偏ってもしょうがない。12ポイントくらいじゃ、せいぜい召喚できるモンスターの種類は多くても5種類くらいしかないから、連続で同じのが召喚されることも珍しくないよ」
そういえば、もう何十回と召喚をしたが、出てきたモンスターは、ドリアード、サラマンダー、ウンディーネ、ノームと4種類しかいない。抜けるモンスターは2種類なので、確率は半分だ。
「なるほど・・そもそも召喚できる種類が少ないのか・・」
「そうです。なので、系統にジョブポイントを多く振って、種類を増やすようにしてください」
「わかった。そうさせてもらう」
と、言ったが、もうジョブポイントがない。またレベルを上げないとダメか・・そう思っていると、職員が良い情報をくれた。
「そうだ、ジョブポイントだが、レベルアップ以外にも入手できるのを知ってるか」
「なんだと! それは本当か!」
「ジョブクエストというのを聞いたことないか」
「なんだそれは!」
「冒険者が、ジョブの経験をより効率良く受けれるようになる為に、女神ラミュシャが用意してくれているクエストだよ、一度のレベルアップより多くのジョブポイントを入手できるので、必須クエストと呼ばれているものだ」
「そんな良いものがあったのか!」
「でもおかしいな・・普通、二次職になったら女神からその辺の説明があるはずなんだけど」
あのクソ女神め・・・意地悪だな・・これは間違いなく意地悪だな・・・今度会ったらただじゃおかない!
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