第6話 女神と俺

召喚時間を伸ばすために、毎日、俺は無理をしながらレベル上げの冒険に出ていた。体はボロボロになり、いつも魔力を使い果たしてヘトヘトになりながら頑張り、いよいよレベルアップの瞬間を迎えた。


「よし! レベルアップだ!」

そう俺が言うと、パーティーメンバーが祝福してくれる。

「おっ、おめでとう。この間レベル10になったばっかなのに早いなジンタ」

「そうだよね、まだ一週間くらいしか経ってないのに、普通なら早くても一月くらいはかかるのに」

「そうか、最近の無茶はレベル上げのためですね。どうしてそんなに早くレベルを上げたかったんですか」

ルルナの質問に、簡単に答える。

「ジョブステータスの振りを間違えた・・」

そう俺が言うと、みんな納得したように頷く。

「二次職になったばっかのあるあるだね。具体的に何に振るの」

ニジナの質問にも答えてやる。

「召喚時間だ・・」

「あっ、それ気になってた。ジンタの召喚モンスターって、すぐ消えるな・・て思ってたけど、やっぱり気に入らなかったんだ」

気に入らないというより、俺はそこまで早漏ではない。さすがに数十秒では何もできんのだ。


今回のレベルアップで手に入ったジョブポイントは2・・ちょっと少ないけど、これでどれくらい召喚時間が伸びるか・・・


ダンジョンから戻ると、すぐに女神の祭壇へと向かった。そこで女神ラミュシャと干渉するのだが、なぜかなかなか繋がらない。根気よく挑戦して何とか繋がることができた。しかし、女神の第一声は、すごく嫌そうな声でこう言ってる。

「・・・来るの早くないですか、ちょっと間隔短くて、気が重いんですけど」

「おい、お前は女神だろ。そんな差別的な発言はいけないと思うぞ」

「・・・まあ、いいです。それで今日は何の用ですか」

「レベルが上がったので、ジョブステータスを振りたいのだ」

「・・・もう少し溜めてから来ればいいじゃないですか・・・そんなしょっちゅう来るもんじゃないですよ」

「貴様! 何だそのやる気のない態度は! 俺はレベル上がったらこまめに割り振る派なのだ。そんなこと個人の自由ではないか」

「その相手を毎回やるこっちの身にもなってくださいよ、エロ召喚士!」

「なぜそれを知っている!」

「何言ってるの、転職の時、いきなり私をおかずであんなことやこんなことを想像したくせに!」

「馬鹿野郎! 女神も俺の守備範囲だ! できればやりたいと思ってる! 悔しかったらやらせてみろ!」

「誰がやらせますか! 早くジョブポイント振って帰りなさい!」


その後も女神との不毛なケンカは続いたが、なんとかジョブポイントを召喚時間に振ることができた。


部屋に戻ると、早速召喚して、伸びた召喚時間を確認したかったのだけど、すでに冒険によって魔力が枯渇していたので、その日は悶々になりながらも、大人しく休むことにした。しっかし、魔力を使用しての疲れは、性欲には影響しないものだとつくづく思う。


悶々とする中、なんとかぐっすりと眠り、魔力も回復した。いよいよ、召喚時間を確認することができる。俺はスキルパネルを開いて、ランダム召喚スキルを実行した。


そして現れたのは、おっさんのような子供のような見た目の、地霊ノームであった。俺は死んだ魚の眼でノームを見つめる。


俺とノームは、そのままただ見つめ合い。長いような、短いような、不思議な時間が過ぎて、ノームは消えていった。

「あっ・・時間どれくらいだったかわかんね・・」

無の時間により、伸びた召喚時間を把握できなかった。


もう一度召喚する。次は女性型であることを切に願いながら、スキルを実行した。しかし、どういうわけかまた出てきたのは地霊ノームであった。俺は静かな目でノームを見つめる。今回は数字を数えながらノームを見ていたので、時間を計ることができた。まあ、正確では無いが、おおよそ召喚時間は40秒くらいであろうか・・前が20秒くらいだったと思うので、倍くらいにはなっている。だけどそれでもスケベなことをするには短すぎる。


これはもう抜くのは諦めて、おっぱいだけでも触ろうと、さらにランダム召喚を実行した。しかし、そこに現れたのは地霊ノームであった。俺の部屋に、静かで、何の感情を生まれない無の時間が過ぎていく。

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