第16話 明かされた真実

-- 真治


武技の授業。

多分これは、余裕が有る、筈。


「おい、真治君。君の力を試させて貰うよ」


教諭から声がかかる。


「流石に、大人には敵わないですよ。それに、僕は回復専門なので、戦闘なら晶や夜歌の方が強いですよ」


「まあ、大体の強さを見せてくれれば良いよ。旧人でも強くなれる、その可能性を見せてやりたいんだ」


教諭がそう言い、前に出る事を促す。


「真治、やり過ぎないようにね」


ニクスが忠告。

や、相手教諭だし、大丈夫でしょ。


「待て」


教諭が止める。


「どうしましたか?」


ニクスとのやり取りが聞こえたのだろうか。


「今回復専門と言ったが、どういう意味だ。まさか回復魔法が使えるのか?」


「はい、使えますよ」


と言うか、回復魔法しか使えない。


「・・・まさか、外では旧人が魔法まで使うとはな。まあ良い、打ち込んで来い」


チャ


教諭が木刀を構える。


こっちも、木刀を出す。

向こうも魔力は纏わせてないし、そのままだろうな。


ゴッ


先手!


教諭に突っ込み、剣を喉元に突きつける。


・・・


棒立ち?!


「・・・参った」


カラン


教諭が木刀を落とす。


どよ・・・


学生がどよめく。

教諭の接待があからさま過ぎたせいだろう。


「・・・剣技にはかなり自信があったのだが。外の旧人力は、最早妖精の域に達しているな」


「流石にそれは無いと思いますが・・・」


「いや、そこは認めるべきだ。恐らく、生半可な妖精では、キミに勝てないだろう」


教諭が言う。

どよっと生徒がどよめく。

無理だって。


--


「行方不明?」


睡蓮と一緒に、図書館で読書をしていると、リンダが話しかけてきた。


「ですわ。学生、特に魔力が高い学生が次々に行方不明になっていますの。皆さんも気をつけて下さいね」


ファミリアがついてるから多分大丈夫だけど。

むしろ、リンダが心配かな。

というか、魔力が高いって、ほとんど魔力感知出来ないんだけど。


「有難う、気をつけるよ。リンダも気を付けてね」


「有難う御座います」


リンダが微笑んだ。


-- 真治


リンダが行方不明になった。

流石に放置は出来ない。

ロウに調べて貰ったら、例の精霊、リリアンが怪しそうだ。

でとりあえずニクスが拘束、転がした。


「貴方達・・・外の人よね。冗談はよしてくれないかしら?」


リリアンが睨みつけながら言う。


「リンダが行方不明になったのに、キミが関与している事は分かっている。大人しく教えて欲しい」


「何で特定されてるの?!」


しらばっくれる事も無く叫ぶ。


「・・・証拠は有るのかしら?都市の人間には人権という物が有るのよ、田舎のお猿さん。早く拘束を解きなさい」


キッ


リリアンが睨みつけてくる。


「キミは、精霊だよね。しかも、多分侵入者だよね。人権、有るの?」


夜歌が不思議そうに尋ねる。

リリアンがショックを受ける。


「なっ、何故私の正体を?!」


鑑定しました。


「・・・人間共よ。こうなったら、真の恐怖を味合わせてやろうぞ」


リリアンが本気を出す。

身に魔力をまとわせ・・・それに反応し、縄が強化。

より強く拘束する。


「・・・解いて」


情けない声を出すリリアン。


「喋る気、無い?」


晶が尋ねる。


「愚かな。例え何かを知っていても、貴様等には何も言わぬわ」


困ったなあ。


ロウが、夜歌に語りかける。


「夜歌、仕方がないな」


「だね」


夜歌が進み出る。


「夜歌?」


僕がきょとんとして言う。

言い難そうにロウが言う。


「すまぬ、真治。お主に黙っていた事が有る」


「何だろう?」


「夜歌は・・・髪の毛程度の毛でも、モフれる」

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