第7話 エタフォ
「最後は私ね」
純白のワンピースを着た睡蓮が、進み出る。
フォッ
睡蓮の前に、リスタが移動する。
「これ以上アバドンを倒す訳には行きません。多い神霊級なら・・・北京のビックフットとかどうでしょうか?」
リスタが呟く
どすん
アバドンが落ちてくる。
「駄目ですよ?!」
リスタがロウに向かって叫ぶ。
コウッ
アバドンは大口を開けると・・・
ゴウッ
波動砲を放つ。
リスタが冷気で包み込み、抑える。
「あちらは戦闘態勢のようね」
睡蓮が困った様に言う。
「仕方がないですね。ここでアレを倒す流れの様です」
リスタは溜め息をつくと、
ガシイイ
周囲に氷柱がせり上がり、戦闘態勢をとった。
名前:リスタ
種族:???
状態:霊鎧
霊格:☆5+
属性:水
霊殻:20万(+5万/1秒)
魔力:160万(+160万/1秒)
物攻:1
物防:14
魔攻:62
魔防:300
速度:16
運命:21
リスタは典型的な魔法アタッカー。
逆に物理的攻撃や、魔法が効かない敵は苦労する。
「ドロー」
睡蓮の手に、3枚のカードが現れる。
「アブソリュートゼロ、行使」
睡蓮が手札を切ると、リスタが魔法を行使。
白い光がアバドンを包み込む。
絶対零度。
あらゆる物が停止する。
コウッ
アバドンが赤い光を放つ。
「デッドリーブリザード、行使」
ゴオオオオオ
アバドンを激しい吹雪が襲う。
バリイ!
アバドンの周囲の吹雪が晴れる。
抵抗と中和を成功させたのだ。
「仕方がないわね・・・エターナルフォースブリザード!」
相手の命を奪うまで止まない吹雪・・・!
まだ・・・抵抗するか・・・!
バグアアアア
吹雪を抜け、虚を突いて、アバドンがリスタに噛み付こうとする。
やばい!
「げ」
ニクスが呻く。
「・・・くっ」
ガイが慌てて結界を張る。
ガッ
アバドンが、リスタにはたかれて吹き飛ぶ。
ガッ
結界に当たり、地面に転がる。
ボウ
睡蓮の手に3枚の手札がドローされる。
「スイ、次の指示を」
リスタが低く、抑えた声で告げる。
リスタは、物理攻撃が苦手だ。
そういう設定なので、普段は氷の盾とかで物理攻撃を防ぐのだけど。
虚を突かれると、手を出さざるを得ない。
そうなると、物理攻撃が苦手なのに物理攻撃した事になるので・・・怒る。
「・・・ほら、もう勝ちで良いんじゃないかな?」
睡蓮がちらほら、手札とリスタの姿を見比べながら言う。
多分、3枚とも同じ、または同格のカードなんだろうなあ。
「そうだよ、相手虫の息だしさ・・・虫だけに」
ニクスも説得する様に言う。
「駄目です」
端的にリスタが告げる。
「うう・・・樹氷招来」
睡蓮が手札を行使。
リスタが魔法を行使・・・あれは・・・領域魔法・・・!
精霊は、世界を歪め、特有の領域を創り出す事がある。
その中では、外の物理法則が通じない、といったような事も起きる。
世界に対する局所的改変・・・
ジッ
最初の段階で、既にアバドンは死に絶えた。
霊鎧なんて関係ない。
一撃で死んだ。
例え純粋な精霊でも、死んでしまうかもしれない。
それが・・・改竄されし領域の恐ろしさ。
それは、入った者に等しく死を付与する異界。
・・・消えない。
「行きましょうか」
リスタが告げる。
「待って、その異界閉じてよ!危険でしょ!」
ニクスが抗議する。
「・・・散々ルールを歪めるなと言っておいて、お前が一番歪めているだろう。何時も何時も」
ガイが呻く。
「彼はしばらくあそこで頭を冷やすべきです。反省したら解きます」
リスタがぷい、と首を振る。
「・・・既に奴は消えているんだが・・・」
ロウが呆れた様に呟く。
「もう・・・閉じるからねー?」
ニクスがちゃっちゃと異界を閉じた。
正常な世界が戻る。
跡には、アバドンの死骸が残る。
「・・・戻ろー」
睡蓮が疲れたように言う。
「そうだね」
僕も頷く。
なんか最後でどっと疲れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます