第6話 崩壊するバランス

ガッ


アバドンのスキルを、ニクスが受け止める。


「ニクス、天火翔行使!」


僕の手の中のカードが1枚、燃え上がる。

そして、ニクスが炎を纏って浮き上がり・・・


ゴウッ


威力:17×4×2=136

防御:58

ダメージ:136−58=78

霊殻:246−78=168


アバドンの霊鎧を大きく削る。

・・・硬い。


「チェイン!ムーンスラッシュを行使!」


「了解!」


ニクスの手に蒼白い刀が現れる。


ザンッ


アバドンを大きく袈裟斬りにした。


威力:17×2×2=68

防御:0

ダメージ:68

霊殻:168+2−68=102


く・・・まだか・・・どんどん回復していく。

汗が頬を伝う。


ガアア


アバドンが噛みつき、ニクスが防ぐ。

再びニクスの霊鎧が削られる。


「ドロー!」


名称:ホーリーブレイバー

種別:物理攻撃スキル

霊格:☆6+

説明:聖属性、チャージにより威力が上昇、最大×8、魔に属する者に特攻×2


名称:コキュートス

種別:攻撃魔法

霊格:☆6+

説明:氷属性、威力+100、対象の魔法防御を威力に加算、防御無視


「ニクス・・・コキュートスを行使!」


「りょーかい!」


びぎいいい


空間が・・・凍る・・・!


ぎあああああああ


アバドンが吠える。


威力:8+100+60=168

防御:0

ダメージ:168

霊殻:102+4−168→0


「ニクス、ホーリーブレイバーをチャージ!」


「OK!」


ゴウッ


ニクスに白い光が集まる。


アバドンの霊鎧が崩れ・・・


名前:アバドン

種族:グリードホッパーキング/魔精霊

霊格:☆6

属性:毒/昆虫/地

生命:860(+1/2秒)

魔力:1300(+1/1秒)

物攻:79

物防:93

魔攻:68

魔防:160

速度:136

運命:9


・・・強い!


「ニクス、ホーリーブレイバー行使!」


「承知!」


ニクスの手に光の剣が現れる。

光を纏って飛び込み、息をつかせぬ連撃を加える。


威力:17×8×2=272

防御:93

ダメージ:272−93=179

生命:860−179=681


・・・小揺るぎもしない。


「ドロー!」


名称:すらっしゅ

種別:物理攻撃スキル

霊格:☆7

説明:倒す。


飽きたのかあ。


「ニクス、すらっしゅ」


「はーい」


ざしゅ


ニクスがアバドンを斬る。

一瞬にしてアバドンの生命力を削り切り、アバドンが泡となって消えた。


「ディスカード!」


手札が光の泡になって消える。


「アバドンは、半生物だから、数が増えるし、倒すと消えるんだよ」


ニクスの解説。

精霊界で休眠じゃないのかあ。


「あまり増える速度は早くないので、たくさん狩るとバランスが崩れますけどね」


リスタが咎める様に言う。


「次の持って来たぞ」


ロウが次のアバドンを転がす。


「聞いてましたか、駄犬?」


リスタがロウに呆れた様に言う。


「次、僕!」


夜歌が進み出る。


「分かった」


ロウがアバドンに向く。


名前:ロウ

種族:???

状態:霊鎧

霊格:☆5+

属性:風

霊殻:60万(+10万/1秒)

魔力:30万(+5万/1秒)

物攻:33

物防:14

魔攻:5

魔防:12

速度:96

運命:7


チームでは、スピードで相手を撹乱するトリックスターだ。


「ドロー!」


夜歌の手に、3枚の手札が現れる。

夜歌とロウの限界は3枚だ。

だが・・・


夜歌が矢継ぎ早にカードを切る。

ドローとアクティベートの流れる様な捌き。

チェイン、チェイン、チェイン、チェイン!

あたかも、意図して配られたかの様に、チェインが繋がっていく。


拘束解く隙すら与えず、アバドンが消失していく・・・あれ、拘束解くの忘れていたのでは?


「やったあ、ロウ!」


夜歌とロウがハイタッチしている。


「次は、私かな。行くよ、ガイ」


晶が進み出る。


「了解だ、晶。だが、相手を用意しないとな」


ガイが晶の前に立つ。


どすん


ガイの前にアバドンが落ちてくる。

持ってきて空中に保存しているようだ。


「駄犬、アバドンは駄目って言いましたよね?!」


リスタが叫ぶ。


晶は、エレメント魔法の使い手。

火を出したり、水を出したり・・・その攻撃力は、村でもトップクラス。

だが・・・所詮は人間の魔法。

威力はたかが知れている。

強敵と戦う場合は、僕達と同じく、指示を出すだけだ。


名前:ガイ

種族:???

状態:霊鎧

霊格:☆5+

属性:地

霊殻:120万(+60万/1秒)

魔力:80万(+40万/1秒)

物攻:3

物防:41

魔攻:6

魔防:69

速度:4

運命:9


チームでは、戦況を冷静に見て、支援をかける役割だ。

単独では、出足が遅いが威力の高い魔法で戦う戦法だ。


ガアッ


アバドンがガイに噛み付こうとする。

ガイが光の盾でアバドンを受け止める。


「ドロー」


しなやかに流れる、晶の手。

空中に4枚の手札が現れる。


「アクション、チャージ。アクティベートトラップ、酸の溜め池」


晶が手札を切る。

アクションは、スキル等とは別に、魔力を高めたり回復させたりするボーナスカードだ。

トラップも、ボーナスカードで、敵に様々な効果を与える。

魔力増強と、防御低下だろう。


「イクイップ、蓬莱の杖。アクティベートトラップ、封鎖・・・ドロー」


流れる様に手札を切る晶。


「アクション、チャージ。行使、とげとげ☆パラダイス。アクティベートトラップ、犠牲の祭壇」


アバドンを見据え、


「とげとげ☆パラダイス、威力行使」


ゴガッ


晶の指示に従い、ガイが魔法を発動。

地面から無数の土槍が隆起、アバドンを貫く。

パラダイス、とは。


霊鎧を破壊され、続けて生命力を削り切られ、アバドンが退場する。

霊鎧は一撃死はしないが、多段ヒットには意味が無いという。


「状況終了、ガイお疲れ」


晶がガイに微笑みかけ、


「お疲れ様、晶」


ガイが労う。

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