第2話 深紅の騎士

「今ので魔力完全に空だよ。帰ろう」


ニクスを促す・・・が、


くい


ニクスが指を指した先・・・


マンティコアが降り立った。

☆5・・・災厄級の魔精霊。

親父や村長でも勝てない。

そして、マンティコアは人食だ。

旅人とかが食べられる事がある。


「・・・ニクス、お願い」


顔に手の平を当てつつ、言う。


「ん、良いよ。指示お願い」


ファミリアは自律戦闘も出来るが、対人のファミリアバトルでは指示を出すらしい。

それの練習だ。


まずは、鑑定。


名前:ウルグア

種族:???

状態:霊鎧

霊格:☆5−

属性:火

霊殻:60(+1/60秒)

魔力:60(+1/5秒)

物攻:12

物防:12

魔攻:12

魔防:12

速度:12

運命:12


平均的な強さだ。

ちなみに、


名前:真治

種族:人間

属性:無し

生命:1

魔力:1(+1/1日)

物攻:1

物防:1

魔攻:1

魔防:1

速度:1

運命:68


こんな風に、人間と精霊の強さは比較にならない。


そして、ニクスのステータス。


名前:ニクス

種族:???

状態:霊鎧

霊格:☆5+

属性:無し

霊殻:64万(+10万/1秒)

魔力:87万(+15万/1秒)

物攻:17

物防:19

魔攻:8

魔防:17

速度:43

運命:68


ニクスは、攻めの際はスピードで撹乱、チームでは盾役を務める。


尚、霊鎧というのは、精霊や妖精が纏える鎧だ。

各々が自分の特性に合わせデザイン、構築する。

自身の正体を隠蔽する、偽装する、即死回避、といった効果が有る。


一般的には霊鎧は、生身よりは弱い。

例外的に自身より強い霊鎧を纏い、霊鎧の破壊が敗北に直結する者もいる。

ニクスは後者で、霊鎧は強いが、霊鎧がなければ☆3程度の力しかないらしい。


「ニクス、ブレイクアタック!」


通常攻撃には、ノーマル、ブレイク、シールドがある

3すくみの様な関係だが、特にブレイクは霊鎧の破壊に効果的だ。

この為、霊鎧を纏った相手にはブレイク攻撃が定石となる。


「了解だよ、真治!」


ニクスが大剣を大振りに構え、マンティコアに突進。

マンティコアはアタックで迎撃。

相性は向こうの選択が有利だが・・・


ふっ


マンティコアの直前でニクスの姿が消える。

そして、



ニクスがマンティコアの後ろに現れ、大剣を地面に突き刺す。

マンティコアの霊鎧が崩れ去る。


名前:ウルグア

種族:マンティコア/魔精霊

霊格:☆5

属性:火

生命:80(+1/30秒)

魔力:90(+1/2秒)

物攻:12

物防:12

魔攻:16

魔防:17

速度:18

運命:9


「・・・馬鹿な、一撃・・・だと・・・?」


マンティコアが呻く。

だが、


「ニクス、フィニッシュ!」


トドメをさせそうな時の指示。

攻撃優先で連撃を加える命令だ。


サンッ


ニクスの一撃で、マンティコアの生命を削り切った。


光の泡となって、マンティコアが消えていく。

精霊界への強制送還。

休眠状態となり、復活には万や億の単位で時間がかかるらしい。

もう会うことは無い。


「有難う、ニクス」


ニクスは兜の前面を上げ、


「☆5程度なら容易い御用だよ」


微笑む。

☆6のドラゴンをソロした時は大変だった。


ちなみに、☆5が災厄級、☆6が神霊級。

☆6が現代では最高ランクとなる。

昔は☆7や☆8がいたらしいが、その消失と共に新しい時代が始まった、らしい。


カシャン


ニクスが抱きついてくる。

鎧のままだけど、痛くはない。


「帰ろう」


のんびりと、帰途についた。


-- 真治


「だから、極悪非道じゃ無いってば。純情可憐な美少女だったのに、騙され、無惨に殺されたんだってば」


鮮やかな赤色のポニーテール、赤い目をした美少女━━ニクスが、頬を膨らませて抗議する。


歴史。

聖精霊と魔精霊の人間界侵攻、天界と魔界の介入、魔王による天界と魔界の壊滅、魔王の討伐、神王の失踪、聖精霊と魔精霊の相互侵攻からの混乱。

一方で、戦場となった人間界は魔力が大気に満ち、人間は死滅・・・寸前で妖精の助けを借り、幾つかの結界都市を建築、そこに籠もって生き延びた。

これがもっとも一般的な歴史だ。


もっとも、諸説あって、今ニクスが抗議しているのもその1つだ。

曰く、魔王は悪人ではなく、善良な美少女だった、と主張している。

幼馴染のファミリア達も、それぞれ歴史の一部を否定するので、種族毎に言い分が有るのだろう。


都市の学校の試験では、この教科書通りの歴史が問われるので、申し訳無いがニクスの主張は受け入れられない。

そもそも、魔王が善良なら、今ある歴史が色々崩れてしまう。


実際、明らかな違いは有る。

僕達、外の民の存在だ。


都市では、都市の外は死の世界、防護服や乗り物に乗らないと外に行けないと教えられる。

ちょくちょく外に出る人間がいて・・・確かに命を落とす人もいたが、適応して生き延びた人がいて・・・僕達はその子孫だ。

少し前までその存在を都市が認めていなかったのだけど、今回その事実を認め、僕達4人が初の留学生として、都市の学園に通う事になった。

・・・胃が痛い。


都市の中では、外では失われた文明が残っていて・・・というか更に進化していて、魔力無しに・・・もしくは少ない魔力で様々な事象が起きているらしい。

食べ物や・・・お菓子も大違いだとか。

都会・・・夢の都会・・・!

第一期生というのが胃が痛すぎる。

僕達の行動如何により、外の民全体の評価が定まってしまうのだ。


村の知恵者や精霊達が協力して、外の民が恥ずかしくないよう、僕達を教育している。


話が逸れた。

編入試験も大事だ。

出来れば、満点近くとっておきたい。

それで、歴史の他、魔法学等も勉強している・・・

数学、生物学、化学、物理学、文学・・・その辺りには手が回らないので、個人的に免除扱いとしている。

実際、編入試験は実施するが、点数が悪いからといって編入が認められない訳ではない。

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