第2話 D-Queen バーレスク
巨大近未来都市『ラゼルダ』。
唯一合法でカジノの運営を独自に任された
この島は、瞬く間に巨額の富で膨れ上がり
今やどの国家の介入をも許さぬ独立機関へと
成長していた。
夜でも常時目映いほどの
ライトアップで照らされている
眠らないこの街には、
ド派手な衣装に身を包んだ、これまたド派手な人々達が夜な夜な娯楽を求めて集まっていた。
彼らは豪華な車で空を舞い、
またその真横をドラゴンやプテラノドンが
通りすぎる。
もちろん、ドラゴンなんて生き物は
架空の生物であってこの世に存在するはずなどないのだが、この『不可能をも可能にできる街、ラゼルダ』では、
そんな中、
ラゼルダ駅にこれまた豪華絢爛な
定期列車が到着した。
『次は終点―――…
夢と希望の街、ラゼルダ―――…
降り口は左側…降り口は左側です。』
降りゆく無数の人々の波に紛れて、
こんなきらびやかで華やかな街にはとても似つかわしいような素朴すぎる服装に身を包んだ1人の少女がラゼルダの駅へと降り立った。
「…すごい…お姉ちゃん、
こんな所で働いているのね。」
Tシャツに短パンというこの土地では逆に浮いてしまいそうなくらいにラフすぎる飾りっ気のない格好で、自分が背負ったリュックの紐を両手で強く握りしめながら、少女は目を輝かせてラゼルダの街を見上げていた。
少女の名前はハルナ。
ここから鈍行列車を乗り継いで12時間以上もかかるキリスナの村からやって来た。
「えっと…
ラゼルダのカジノはどこだっけ~?」
くしゃくしゃになってしまった地図を広げながら数分ほど進んでいくと、より一層きらびやかに輝く建物の前へと辿り着いた。
『D-Queen バーレスク』
そうデカデカと掲げられた看板の文字の隣には、ダーツを構えた絶世の美女が微笑んでいた。
「…すごい…お姉ちゃん、
こんな大きなお店の看板になってるだなんて…」
少女の姉であるそのジーナの微笑みは
この華やかで巨大なラゼルダの街で
彼女がトップにまで登り詰めたという
紛れもない証となっていた。
とてもハルナと同じキリスナの田舎から出てきたばかりとは思えぬ、そんな彼女の力強い美しさに少女は高く高く心を高鳴らせながら、思わずその建物へと駆け寄っていったのであった。
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