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やがてシャワーから上がってパジャマに着替えた葵が自室にやってきた。
「幹の部屋、相変わらずだね」
幼馴染である二人は、何度かお互いの家に来ていた。幹の部屋にはゲーム機があって、漫画がある。きっと押し入れにはエッチな本とかもあって、シャワーを浴びている間に隠したのかな、と葵は思った。
「じゃあ、ベッド借りるね」
「ど、どぞ」
葵は幹のベッドに腰掛けて、枕に頭を預け、掛け布団に包まる。
(はぁああ、温かい)
葵は掛け布団に顔を埋めて、至福の時を過ごす。
(幹が昨日寝た布団……)
葵はふと気になってクンクンと匂いを嗅いだ。
(これが幹の匂い……はぁああ堪らない)
幹の寝汗が混じった匂いを仄かに感じ取った葵は目がうっとりした。
(ああ、葵が僕のベッドで……)
そんな葵の様子を見た幹はどうしようもなく興奮していた。大好きな人が自分のベッドで寝るのが、こんなにもドキドキするとは、幹にとって予想外だった。
「ね、ねえ幹」
目がトロンとなって、だらしのない表情をしたままで葵は言った。
「頭撫でて」
「え、えぇ」
「お願い」
幹は仕方が無さそうに、でも内心はちょっぴり嬉しい気持ちで葵に近寄ると、そっと頭を撫でた。
「えへへ、気持ちい」
まるで子猫の様に葵は悶える。そんな様子を見た幹も顔がとろけた。
「葵の髪、さらさらして気持ちい」
幹にそう言われた葵はさら気分が良くなって、少し眠くなる。うとうとしている葵を見ていた幹は、なんだか母親なったような気分になり、愛おしく感じていた。
「寝ても良いよ。ずっと傍にいるから。時間になったら起こしてあげる」
そう言ってまた撫で始める幹。葵はついに眠りに落ちた。
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