最終愛 そして、彼は彼女とひとつとなる♡
避難していた
「二度とこんな危険な国には訪れない事にするよ。おい、ケンタロウス馬車を出せ!」
金色の髪を靡かせたグランデ家のブラストが、溜息をつきながらお付へ声をかけ、迎賓館を出ようとする。
「おい、ブラスト。まだ外には危険があるかもしれない。それに我らは王と共に帰るべきだ」
「怖気づいたかクロース。フランツ家は魔物に怯えるような軟弱者へと成り下がったようだな」
銀髪エルフ、クロースを制止を無視して入口へ向かおうとするブラスト、しかし、次の瞬間、全身に重力が
「貴族の皆様、この度、お見苦しいところを見せてしまい、申し訳ございませんでした。全ては
「謝罪だと!? ならば、どうして私達を拘束する必要があるのだ! 私を誰だと思っている! グランデ家バディス公爵の嫡男、ブラストであるぞ?」
金髪のエルフ、ブラストが動けない状態で叫び声をあげる。すると、水で出来た縄によって、エルフの
「貴方は自分ばかり見ていて周囲からの殺意すら気づかないのですね」
「何を言っている?」
夢見の巫女がブラストへ笑いかけると、ブラストは周囲の貴族が驚愕の表情で驚いている様子に気づく。そうして初めて、背後から突きつけられた刃に気づいた。
「夢都冒険者協会へと連行させていただきます。暗殺依頼の張本人――フランツ家嫡男、
「何を言っているんだい? 水の縄を
弥生に続いて空間より出現したユズキが水の縄で拘束した相手は、散々ユズキを口説いていた金髪エルフのブラストではなく、貴族として毅然とした立ち振る舞いを披露していた銀髪エルフ、クロースの方であった。
「申し訳ございません。夢見の巫女である私は、心を読む力――
「ば、馬鹿な!? クロース! お前が王を殺す依頼をしたというのか!?」
弥生の
「くくくくく……あははははははは……! そうさ、私がブライティ王の暗殺を暗殺者へ依頼した首謀者だよ! この醜い貴族同士の争いにより腐った国を正そうとしたのさ!」
「クロースさん……貴方のやり方は間違っていた。妖魔と手を組むなんて、正しいとは言えないです」
「君はユリア姫ではなく、ユズキと言うんだね。その通り、君は正しいよ。そう、私は国を変えようと悪魔に魂を売ったのさ」
「レミリアさん、彼を夢都冒険者協会へ」
「分かりました。ユズ君、行きましょう。
この後、冒険者協会へ引き渡されたクロースは、爵位を剥奪され、
そして、数日後――――
「一度腐ったみかんは元には戻らないのん」
「でも根元が腐っていなければ、新しい果実を生み出せばいいのですわ」
某宿屋のとある一室にて、くの一姉妹が手を取り合い、誰かに向かって語りかけている。
「そうね。
「ブライティ王も言っていた。王の権限を持って国を復興させると」
くの一姉妹の言葉にいつもの黒いボンテージスーツを身につけた猫妖精のマリンと、蒼い髪を靡かせた中華服のツカサが同調する。
「そう。果実や花はいつでも咲かせる事が出来るのん。マリンお姉様、今度こそ
「この間の約束を果たしましょう!」
「ちょっとあなた達! ユズキ君はいいの? ユズキ君は!?」
くの一姉妹が瞳を爛爛と輝かせてマリンへと迫るくの一。
「マリンさん、いつの間にくの一姉妹とそんな関係に?」
「もう、レミリアたん! 勘違いしないで。私はただこの子等を戦闘中助け……ちょっとやめなさーい! 耳は……弱いの、やめっ!」
ソファーに押し倒されるマリンとじゃれつく百合姉妹。百合の花が咲き乱れるのは時間の問題であろう。
「僕としてはうぐいすとさくらが僕に向かって来ないなら安心ではあるけど……」
「私も
ユズキとレミリアが止める間もなく姉妹を
「あ、ユズキ様はちゃんと朝
「お姉様、殿方を奉仕する仕方教えて下さい!」
マリンと戯れつつ、くの一姉妹がとんでもない発言をする。そんな中、部屋の扉を開け、誰かが飛び込んで来た!
「ユズキさーーん、レミリアお姉様ーー。報酬授与式の準備が出来たので迎えに来ましたーー」
「のほーー、マリンーー、ツカサーー、ようやく回復したのぉおおおお!」
狐のモフモフした尻尾をフリフリしつつ、ユズキの傍へ駆け寄ったのは冒険者協会の受付嬢ショコラ。戦いの傷が癒えた銀髪エルフ、ノゾミも合流する。
「ノゾミさん、無事に回復してよかった……って、ショコラさん、ちょっと、ペロペロ舐めないで」
「呼び捨てでいいですよ? だってぇ……ユズキさんの寵愛……気持ちよかったんですもの……」
上目遣いで見つめるショコラに困った表情となるユズキ。
「待ってショコラちゃん。まぁ、ショコラちゃんなら……今度一緒に
「レミリアお姉様ーー大好きーー」
「ちょっとレミリア! 何言って!」
豊かなメロン級の双丘へダイブする妖狐の頭をモフモフ撫で撫でするレミリア。ユズキがレミリアを止めようとしていると……。
「のほーー、レミリアーー私との約束も忘れちゃだめなのぉおおーー」
「あ、ノゾミそうでした。じゃあ順番に今度ユズ君と
(だめだ、こいつら早くなんとかしないと……)
そう思い、そっと部屋を出ようとしたユズキの袖を掴む妖精が……。
「え? ツカサ先輩」
「ユズキ、その瞳で私を見つめる事も許可」
(ツカサ先輩よ、お前もか)
酒池肉林と化しそうな展開に、ユズキは逃げ出すのであった。
★メ★★ロ★★ン★
「嗚呼……さっきは死ぬかと思った……」
色んな
くの一姉妹は一度田舎の母の下へと帰るらしい。首謀者であったクロースが捕まった事により、彼女達が貴族の権力に怯える事もなくなったのだ。
「ユズ君、お疲れ様。戦いでのユズ君の姿、本当かっこよかったよ。私何度濡れた事か」
「レミリア……戦闘中に発情するのはやめてね……」
「わかってる。今後はこうやってずっと一緒だもんね」
「それなんだけどさレミリア、今回
「え? なぁに?」
「……毎回宿屋を借りるのもお金かかるし……一緒に住まない?
彼が冒険者である以上、冒険は続く。しかし、当然、拠点として家を持っている者がほとんどなのである。国を転々と渡り歩いた彼は家を持っていなかった。レミリアという守るべき存在を持った事で、今回彼はひとつの決意をしたのである。
ブロンドの瞳をまん丸にし、彼を見つめるレミリア。脳内でユズキの言葉が繰り返し再生される。そんな彼女を優しく見つめ返すユズキ。
「ユズ君……!?」
「レミリア!」
お互いの想いを確かめ合うかのように身体を重ねる
今宵は二名にとって、熱く、長い夜となりそうだ――――
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いかがでしたでしょうか? これにて「僕愛」カクヨム版本編は完結となります。読んでいただいて感じた方も居るかもしれませんが、まだまだ続きそうな展開でお届けしております。本作品は連載として続いている作品を、カクヨム版という形で、第1章完結版として再編集した内容となっております。気軽に読めるおねショタコメディ×ハーレム……でもしっかりファンタジーしている作品として世界観を構築し、練り上げました。楽しんでいただけたのなら幸いです。
尚、本編はおまけのサービス回をあげて完結となります。もし、いいなと思っていただけたなら、感想やレビュー、★評価もいただけるととても嬉しいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。今後とも、とんこつ毬藻の作品を、よろしくお願い致します。
とんこつ毬藻
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