第26愛 夢渡の力が発動出来ません!
「はーい、どうも! 毎度お馴染みパンジーだよ! ここからは再び生中継でお届けするよ。映像は、
上空より映し出される夢都浮遊庭園の映像が
「
そして生中継は、プリンセスドレス姿のユズキが
「え?」
「ブライティ王!?」
「まさか……!?」
「ちょっとユズ君!?」
生中継が揺れる。一瞬映像が乱れ、上空からの遠目の映像へとすぐに切り替わる。
「え? どういう事でしょう!? 突然国王の姿が消えたように見えましたが……」
――パンジー聞こえる? プランDでお願いします!
「はーい! 突然みんな驚いちゃったね、これは夢見の巫女――弥生から国王へのサプライズなんだって! 国王は夢渡でこの後、夢見の回廊を観光するようだよ? びっくりさせちゃってごめんねー!」
この時、パンジーの脳裏に聞こえた声……誰であろう弥生からの意思伝達であった。そう、中継を仕切っているレポーター役の
中継はパンジーのどあっぷの顔へと切り替わる。
「国王はしばらく夢見の回廊観光という事で、生中継はここで終わりだよ? 国王来訪を記念して先日収録したフラワリングのライブ映像をここからはお届けするよ! その前にCMをどうぞ!」
見事に国民への不安を煽らないよう中継を終了するパンジー。しかし、現場はそうはいかない。夢都浮遊庭園にて国王と共に居た貴族達が騒ぎ出したのだ。
「ど、どうなっているんだ! 巫女よ、説明してもらうぞ!」
「ブラストまぁ落ち着け、弥生殿。国王が居なくなったのには理由があるんだろう?」
異常事態に弥生へと弁明を求めるグランデ家バディス公爵の嫡男、金髪のエルフ――ブラスト。そんなブラストをフランツ家、銀髪銀瞳のエルフ――クロースが窘める。
「後で事情はご説明します。ご心配は要りません。卯月!」
「御意! 弥生様!
弥生がすぐさま夢見部隊幹部へと指示を出し、夢渡にて移動を開始しようとした! ……のだが。
「……弥生様!
「えっ!?」
幹部達の言葉にさすがの弥生も驚く。弥生は目を閉じ念じ始める。
「……これは……
「意味がわからない! 何が起きているんだ!」
「落ち着けブラスト」
うろたえるブラストを窘めるクロース。他の貴族達からも怒号が飛び交い始める。しかし、夢見部隊の能力が封殺されても尚、動じる事なく落ち着いた様子の弥生。そして、彼女が目配せをした視線の先には……。
「嗚呼……ユズ君ーー心配だわ! 早くーー私を
自身が
「国王が居なくなったかと思えば、レミリオ殿? どうしたんだ、突然女口調となって!?」
ブラストが騎士姿のレミリアへ声をかける。
「弥生様。国王が居なくなった以上、この姿を続ける意味がありません。ブラスト様、私はレミリオではありません。私の本当の名は
そう告げた瞬間、一瞬白い煙に包まれたかと思うといつもの夢魔導士姿となるレミリア。ブロンドの美しい髪が靡き、今まできつく抑えられていたメロン級の双丘が、まるで鳥籠から放たれ自由の身となった鳥のように外へと羽ばたき、ぷるるるん! ぷるるるん! っと主張するっ!
「……レミリオ殿……こ、こんなに美しい女性だったのか……!?」
ゴクリと息を呑んだのはブラストではなくクロースの方であった。男性姿のレミリオを口説いていた一部の
「じゃ、じゃあ……まさか、あのユリア姫は?」
「ええ? ユリアは正真正銘、
その瞬間、雷が落ち、全身を打ち抜かれたかのような衝撃を受けるエルフの貴族達。
「あ、あんな美しい姫が……」
「そんな事ある筈がない」
「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」
「し、信じられない」
「いや……もういっそ男でも構わん」
驚愕の事実にブライティ王が居なくなった衝撃をも一瞬忘れてしまいそうになる
――夢見の巫女様。こちら肉テロパーティ、ノゾミです。
「了解です、気をつけて下さいノゾミさん!」
ノゾミからの意思伝達に反応する弥生。そして……。
「嗚呼! 来たわ! ユズ君ーー今行くわーー待っててぇえええーー」
レミリアが佇む地面より桃色の魔法陣が出現し、光を放ち始める。明滅する桃色の光に包まれたレミリアの姿は、
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